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目指す道州制について
[1] 道州制推進連盟の狙い
基本理念、基本問題、戦略的改革、具体的改革は次の通りである。
[2] 地域主権型行財政システムの要点
中央集権から地域主権へ
先進国の中で唯一遅れた中央集権から脱却する
地域が国にぶら下がれば国はつぶれる
地域が自立してはじめて国は栄える。
地域主権の3つの原則
住民と行政との距離を近づける
税金を通じた住民の直接参加と選択
行政の意欲と活力・効率の向上
行政の改革
国の役割を4つに純化する
内閣の省府を廃止して5庁制とする
地域は12州300市制とする
財政の改革
国から19兆円地域へ税源移譲する。
歳出を国と地域と併せて50兆円削減する
地域の「課税自主権」を確立し、地方交付税や国庫支出金を廃止する。
[3] 国・州・市の役割分担
下図に示すように、生活に密着したものは「市」が主権をもって取り扱い、広域的に連携を要するものは、市の連合体として「州」が扱い、国は財投を廃止し、大学・郵政三事業・特殊法人などの原則民営化を貫徹して、4機能に純化する。
これによって明治以来の、先進国中で一番遅れた中央集権制から、先進国並の地域主権制に転換する。
国 |
州 |
市 |
1. 国際公共財
○ 国防
○ 外交 (経済協力・通商政策を含む)
2. 国民基盤サービス
○ 年金
○ 医療保険
○ 雇用保険
○ 生活保護
○ 文化財保護
3. ルール設定・監視
○ 外国人労働者、出入国管理
○ 検察、刑務所
○ 全国統一基準・規格
○ 司法 (裁判所)
○ 治安維持 (日本版FBI)
○ 金融システム (含む通貨発行)
4. 調査研究
○ 高等基礎研究
○ 全国統計調査
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1.警察
2. 公共事業
○ 河川(治水、含むダム)
○ 道路、橋
○ 通信基盤
○ 空港整備・維持
○ 港湾整備・維持
○ 農業・農村整備
○ 下水道
3. 環境保全
○ 産業廃棄物収集・処理
○ 旧国有林野事業
○ 公害対策
4. 災害復旧・危機管理
5. 産業・労働・雇用対策
○ 能力開発、職業安定
○ 雇用・労働組合対策
○ 州立大学
○ 新産業育成機能
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1. 福祉関係
○ 社会福祉
○ 児童福祉
○ 老人福祉(健診、保険)
○ 保育所
○ 介護
2. 消防(含む救急)
3. 保健衛生
○ 伝染病予防、結核対策
○ 生活廃棄物収集、処理
○ 医療(病院・緊急医療)
○ 保健所
4. 教育文化
○ 小学校
○ 中学校
○ 高等学校
○ 幼稚園
○ 図書館
5. まちづくり
○ 公園
○ 都市計画
○ 街路
○ 住宅
6. 公害対策
7. 戸籍・住民基本台帳
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[4] 国の「5庁制」構想
内閣構成の基本方針は次の4つである。
- 市場主導・行政監視スタイルへの転換
- 効率的な行政
- 中央政府の機能鈍化
- 官邸機能の強化
[5] 道州制への再編成
- 現在の都道府県市町村を12州300市に再編成する。12州は10州+2特別州とする。
- 再編案は下表に示す。
- 州は20〜30の市で構成され、人口規模は500〜2000万人程度とし、州都は100万人、周辺を含めて150〜200万人とする。
- 市の再編は次の4基本方針による。
1. 効率的行政運営の為の人口規模
2. 経済的・財政的な自立単位
3. 地域相互の交流と連携重視
4. 小選挙区と歴史的なつながり重視
- 現在の市町村が10〜30程度集まって構成され、人口は15〜35万人、都市部では一部 40〜50万人、中心都市は最低10〜15万人となる。
州 |
現都道府県 |
人口 (万人) |
総生産 (億円) |
歳出額 (億円) |
北海道 |
北海道 |
562.7 |
19,5043 |
2,6144 |
東北 |
青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島 |
963.2 |
32,4196 |
4,4356 |
北陸信越 |
新潟、富山、石川、福井、長野 |
773.2 |
29,2598 |
3,9605 |
北関東 |
茨城、栃木、群馬、埼玉 |
1,406.8 |
46,6922 |
4,0795 |
南関東 |
千葉、神奈川、山梨、東京都下 |
1,981.7 |
* 53,0534 |
7,1491 |
東京特別 |
東京23区 |
848.3 |
** 83,6303 |
2,6546 |
東海 |
岐阜、静岡、愛知、三重 |
1,502.0 |
63,7069 |
4,6746 |
関西 |
滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 |
2,089.1 |
78,9118 |
7,0571 |
中国 |
鳥取、島根、岡山、広島、山口 |
767.3 |
28,1375 |
3,5030 |
四国 |
徳島、香川、愛媛、高知 |
408.4 |
13,3925 |
2,1070 |
九州 |
福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島 |
1,334.9 |
43,4859 |
5,3762 |
沖縄特別 |
沖縄 |
136.0 |
3,5755 |
5798 |
注1) 人口は2005年、総生産は2003年、歳出額は2004年の統計データより
注2) 総生産で東京都の区部と都下を区分したデータなき為、* 東京都下を含まず、** 東京都下を含む |
[6] 道州制における政治システム
「市」の機能
- 各市の長は市長とし、任期6年で公選し、但し連続3選禁止とし、リコール制を設ける。
- 議会は予算、決算の審議、必要条例の制定とし、議員数は20名、公選、任期4年とする。
- 会計は複式簿記とし、損益と共に資産・負債を明確にし、情報公開で無駄遣いをなくす。
- 地方公務員のサービス能率向上のため、給与制度、退職金制度、評価制度などを調査し、各市の経営比較を行い、競争によるサービス向上を図る。
- 現在の3割自治から10割自治に移行するため、はじめに国に行政研究所を作り、全国標準的な組織、設備、ITシステム、人員配置、歳入、歳出、予算配分など、予め検討して公表し、各市の参考に供すると共に、地方公務員の特別研修制度を設ける。
- 諸外国の自治体の参考となるべき点は随時検討して採り入れる。
「州」の機能
- 各州の長は知事とし、任期6年で公選し、但し連続3選禁止とし、リコール制を設ける。
- 議会の議員数は各市1名の公選とし、市の広域連合体として機能させる。
- 地方への権限委譲に伴い、公務員、議員の不正行為に対する刑罰は現在より重くし防止する。
- 道州制実現と共に現都道府県は廃止し、現中央省庁の地方部局は必要あれば州に編入する。
- 各州内で、必要に応じ、市相互の財政調整制度を創設する。
- 地域の自主性を重視した司法制度の在り方については別途検討を行う。
「国」の機能
- 国は大学・郵政3事業・特殊法人など原則民営化を貫徹し、役割分担は4機能に純化する。
- 内閣は、現在の省を全廃し、5庁制とする。
- 州間の財政調整は期間を定めた過渡的なものとし、将来は全廃する。
- 国会は、衆議院は市を小選挙区とする300名、参議院は各州から4名の48名とし、半数は3年ごとに改選する。但しボランティア精神で待遇は奉仕に近く、但し勝手に辞めると罰則を設ける。
- 司法面では憲法裁判所を設ける。基本的法律は全国一律であるが、地裁、高裁は州に移管して、裁判の迅速化をはかる。
- 議員内閣制から首相公選制への変更、首都機能の移転、巡都制などは道州制と直接関係なく、別途必要に応じて検討する。又連邦制にするには憲法の改正を要する。
[7] 財政面の検討
- 検討経過
1996年の「日本再編計画」は道州制の骨組みについては妥当制を持っているが、財政面では、時間的要素から同じPHP総合研究所が2002年5月に出した政策提言「日本再編計画2010」の方が実効的と思われ、その数字を採用している。しかし道州制の実現が遅れているので、実現の目途が立った時点で、専門家の再検討が必要である。
- 税源体系の転換
地域主権を実現するには国から地方への税源の移譲が必要であり、その額は今の所19兆円が妥当と思われる。更に各地域の課税自主権と税率決定権を認め、住民に税率と政策メニューを提示し、 住民の選択で各地域が歳入・歳出を独自に決定できる構造へと転換する。
- 現行の地方交付税の廃止と時限的な水平的財政調整制度の実施
地方の自助努力を阻害し、放漫な支出を促す現行の地方交付税を廃止し、最初の5年間は客観的指標に基づいた新財政調整制度を設け、後半5年間は自立した地方政府への円滑な移行に向け、州間の協議に基づく水平的財政調整制度を創設する。
- 歳出の大幅削減による財政再建
市場介入の撤廃、民営化、地域主権化による行政改革と道州制への再編成で、大幅な国と地方の歳出削減が可能となる。合併効果で14.6兆円、役割再編効果で35.9兆円(国:16.3兆円、地方:19.6兆円)、合計、国と地方と併せて50.5兆円削減できる。従って地域主権の道州制を断行すれば、国と地方の借金まみれの財政破綻状況からの脱却が可能となり、現在は長期債務残高のGDP比が140%で先進国中最高であるが、50年後には長期債務対GDP比が100%を切り、財政破綻の悪夢から逃れられる。
- 21世紀型財政の展望
財政とは本来政治システムと経済システム及び社会システムを結ぶものである。今から約100年前の産業革命で現在の現金給付による社会的セーフティ・ネット及び全国模の物的インフラストラクチュアの整備が財政の主目標となった。しかし今や21世紀の知識社会の出現を前にして、現物による社会的セーフティ・ネットと教育主体の人的インフラストラクチュアが必要になってきた。それに合わせて、行政面での対社会施策の質的転換が必要となってきたと思われる。つまり財政の経済的危機だけでなく、社会的危機に対して、安全、安心な社会をつくらなければならない。
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