最近の注目情報詳細2016年1月)

 

 

1.江口氏がおおさか維新入りへ

20151222日 産経新聞)

 江口克彦参院議員がおおさか維新の会に加わる見通しであることが22日、分かった。複数の関係者が明らかにした。江口氏は同日午前、おおさか維新の片山虎之助共同代表と国会内で会談し、おおさか維新入りについて協議。おおさか維新の参院幹部は「江口氏には加わっていただく方向だ」と強調した。近く正式に決定する。

 

 江口氏は今月、次世代の党(現・日本のこころを大切にする党)の党名変更に反発して離党していた。道州制実現など目指す政策はおおさか維新に近い。維新の党所属だった議員以外のおおさか維新参加は初めて。江口氏が入ればおおさか維新は参院議員7人となり、衆院議員13人とあわせ計20人の勢力となる。

 

 

2.蜜月の安倍、橋下両氏 「憲法改正」の中身にズレがあるのでないか

20151227日 夕刊フジ・大前研一のニュース時評)

 安倍晋三首相は19日夜、橋下徹前大阪市長と都内のホテルで食事しながら、約3時間半にわたって会談した。名目は橋下氏の慰労会だが、菅義偉官房長官とおおさか維新の会代表の松井一郎大阪府知事も同席し、憲法改正や来年夏の参院選の連携などについて意見交換したようだ。参院選では、自民、公明、おおさか維新の3党で憲法改正の国会発議に必要な「3分の2以上」の確保を期待しているようだ。

 

 さらに、安倍首相は橋下氏の国政進出にも期待を示した。橋下氏は衆院選だったら出る腹づもりだと伝えられている。

 

 安倍首相は、野党がバラバラな状況の中で衆参ダブル選挙を決行し、両院で3分の2を取り、もともとのアジェンダ(公約)である憲法改正に一気に突き進もうと考えている。その際、人気の高い橋下氏を衆院選に担ぎ出して、野党の支持層を奪おうという狙いだ。

 

 安倍首相のターゲットは憲法9条の改正だ。一方、橋下氏がこだわっているのは地方自治について規定する憲法8章の92−95条。特に95条の「特定の地方公共団体にだけに適用される特別法を定めるには、その地方公共団体の住民投票で過半数の賛成を得なければならない」という規定だ。

 

 中央集権から道州制への移行と、都構想に基づく地方分権を目指すのなら、この95条改正が本丸だ。つまり、道州制を持ってきて広域行政区域とし、国から三権(立法、行政、司法)を持ってくること。これが橋下氏の考えている構想に違いない。

 

 しかし、橋下氏は今まで、この憲法第8章から説き起こして、地方自治を是正していくという考えを国民にあまり語っていない。

 

 私も憲法第8章が最も重要な改正点だと考えて、あらゆる機会に主張している。9条の改正に対して拒否反応を示す人も、じっくり説明すると、「8章は書き換えなければいけない」とわかってくれる人も多い。しかし、国民の意識には、まだ9条ほど争点が根づいていない。1回の選挙で憲法8章を議題にするということは難しいかもしれない。

 

 ということで、安倍首相と橋下氏の2人は憲法改正では一致しているが、その中身は少しずれている。これをうまくパッケージして国民に提示できるだろうか。

 

 一方、民主党の岡田克也代表ら野党は、選挙戦で「戦争法案、反対」「憲法改正は危ない」とアピールしてくるだろう。それを争点にされると、安倍首相も苦戦すると思う。

 

 ただ、安倍&菅コンビは敵前突破を平気でやれる人たちだ。橋下氏を担ぎ出して憲法改正を突き進めたいという思いは安倍首相の中で非常に強い。菅氏はそれを実現するためには手段を選ばない人である。

 

 橋下氏が選挙で貢献すれば、安倍首相は彼を閣内に迎えて厚遇するかもしれない。だが、自民党内にはダブル選や橋下氏の厚遇に反発する人も多いに違いない。安倍構想の実現には課題が多い。

 

 

3.民主、地方分権争点に 参院選公約に道州制明記へ

2016年1月3日 日本経済新聞)

 民主党の地域主権調査会(逢坂誠二会長)は地方分権の独自案をまとめた。希望する府県が地域ごとにより広域な自治体に移行する「道州制」の導入などが柱。国の権限や財源を国から地方に移し、各地域の実情に合った経済対策を効率よく実施できるようにする狙い。安倍政権が地方分権政策に後ろ向きだと批判し、夏の参院選での争点に据える。

 

 道州制について民主党は2012年衆院選の選挙公約で「道州制を検討する」とし、13年参院選や14 衆院選の公約には記述しなかった。今夏の参院選では道州制の導入をより強く掲げることで地方分権の姿勢をアピールする。国の権限や財源を道州に移し、各地域の事情をより踏まえたインフラ整備などができるようにする。

 

 国が使い道を縛らない一括交付金の復活も掲げる。国が地方に設置している経済産業局や地方環境事務所など一部の出先機関の業務を自治体に移管する方針を示す。

 

 安倍政権の地方政策について民主党の岡田克也代表は「国のお眼鏡にかなったものを支援するという従来の上から目線では地方間競争が起こらない」と批判している。統一会派結成で合意した維新の党は道州制などの統治機構改革をめざしており、地方分権の推進で連携を強めたい思惑もある。

 

 

4.【ぐんと伸ばす 新年の戦略】九州経済同友会・貫正義代表委員

2016年1月6日 産経新聞/九州・沖縄)

■投資意欲高め良質な職場を 金融資本重視から発想転換の時

 

 日本全体をみると、なだらかな景気回復は達成できていると感じます。しかし、良いところと悪いところがだんだん二分化している。すごい力を持つ東京が、地方のさまざまな課題を隠し、全体をよく見せている部分があるようです。

 

 九州もまだら模様があります。福岡市をはじめ、各県の県庁所在地ぐらいまでは明るい動きがあるようですが、それ以外の地域が見えてこない。少し心配しています。

 

 九同友は、東京の持っている力を地方に波及させるという視点で、昔から中央省庁の地方移転を主張してきました。権限や権力がないと、企業も寄ってこないのです。研究機関も含め、地方にあってもよいものは移転すべきだ。そう国や関係機関に働きかけ続けます。

 

 日本の西の拠点として、九州は大きな可能性がある。

 

 首都直下地震など大規模な自然災害に備えて、首都機能を分散しておくべきです。また、アジアへのゲートウェイとして、九州に「第2の東京」というのを創るべきじゃないか。

 

 退任された橋下徹・前大阪市長が「大阪都構想」として、東京と並ぶ拠点を関西に創ることを主張されていましたが、西の拠点は2つあってもよいじゃないですか。大阪が持つべきものと、九州が持つべきものを考えればよいのです。大事なのは防災という観点で、重要な施設を東京から遠いところに置き二重化することです。

 

 九同友は昔から道州制実現を、一生懸命に訴えてきました。世界を見て、1つの政府で1億2千万人をお世話している国はありません。東京からだけではケアできない部分が多くある。現在は、それを県や市町村がやっていますが、力の差がありすぎる。

 

 権限を地方に分散させ、地域住民を上手にケアする体制づくりが欠かせないのです。

 

 九州には昨年も、外国人観光客が多く訪れました。

 

 ただ、「爆買い」をはじめインバウンド需要が、どこまで長続きするかという問題があります。

 

 九州に来て、そこで宿泊をし、観光していただく人々をいかに増やすか。それが非常に重要です。日本の文化、祭、食べ物、自然などのリピーターを増やす。その戦略を2020(平成32)年の東京五輪や、前年のラグビーワールドカップをターゲットに考えることが、喫緊の課題です。

 

 政府も五輪に向けて、全国各地で文化プログラムを企画しています。われわれも、九州から支援していく。民泊の活用なども含め、これらは経済界と行政が一体となって進めていくべき課題です。

 

 九同友が掲げる大きなテーマに、地域に「良質な職場を作る」があります。職場がなければ、特に若者が流出してしまう。こうして高齢化が進んでしまうと地域社会が崩れ、さまざまな問題が噴出するのです。

 

 例えば、研究開発機能を持ったマザー工場を誘致するためには、企業が積極的に投資していくような仕組みが大切となります。

 

 安倍政権になって、企業マインドは確実に良くなりましたが、企業は投資に非常に慎重です。多額の内部留保が批判されることもあります。

 

 ただ、企業側に事情があることも理解いただきたい。というのも、今の企業は、経営者の意志だけで物事を決められず、さまざまな形で管理されているのです。

 

 昔の日本の経営者は、社員のため、お客さまのために事業をしていました。ですが、いつのまにか「金融資本や株主が企業を統制する」という風に変わってしまった。

 

 企業が新たな投資をしようとしても、取締役会だけでは判断できないのです。社外の弁護士や監査法人に「失敗したときに、株主代表訴訟の対象にならないでしょうか?」と尋ねて、確認しなければできない。

 

 言い換えれば、確実に利益が上がることでなければ、企業として投資が難しい仕組みになっているのです。私は、バブル崩壊後の「失われた20年」の一つの元凶がここにある、と考えています。

 

 この金融資本重視の考え方は、すべて西洋からきたものです。

 

 企業が積極的に投資していくシステムを作るには、西洋の発想をそのまま取り入れるのではなく、日本の実態に即した理論を構築することが大切です。これは私の宿願でもあります。

 

 そのためには、今こそ経済学、政治学、そして社会学に頑張ってもらいたい。近年、人文科学を軽視する風潮がありますが、地域の発展に企業が力を発揮できるよう、議論を深めていきたいのです。

(中村雅和)