最近の注目情報詳細(2015年12月)
1.大阪都構想再挑戦へ 大阪維新、ダブル選勝利
(2015年11月23日 毎日新聞)
大阪府知事、大阪市長のダブル選は22日に投開票された。知事選は現職の松井一郎氏(51)が再選。市長選も前衆院議員の吉村洋文氏(40)が初当選し、2人を公認した橋下徹大阪市長率いる地域政党「大阪維新の会」が圧勝した。自民党は知事選で前府議の栗原貴子氏(53)を、市長選で前市議の柳本顕(あきら)氏(41)を推薦したが敗れた。投票率は知事選が4年前のダブル選から7・41ポイント減の45・47%、市長選が同10・41ポイント減の50・51%だった。
松井氏と吉村氏は直ちに、公約に掲げた「大阪都構想」再挑戦へ乗り出す。
松井氏は22日夜の会見で「東西二極を作る手段として訴え続けたい」、吉村氏も「(都構想案を)修正して大阪の根本的な問題を解決していく」と述べた。
松井氏は、12月の任期満了で政界引退を表明した橋下氏の後を継ぎ、国政新党「おおさか維新の会」の代表に就く見通し。今回の勝利で弾みをつけ、来年夏の参院選では全国で候補者の擁立を進めるとみられる。
橋下氏は知事選に盟友の松井氏、市長選に側近の吉村氏を後継者として指名。2勝することで「もう一度、都構想の設計図をつくらせてほしい」と訴えた。
吉村氏は来月の市長就任後に早速、大阪市内各地で市民との集会を持ち、意見を聞く意向だ。府・市の協議も踏まえ、廃案となった都構想の区割り案などを修正し、4年の任期中に再び住民投票の実施を目指す。
ただ、住民投票の実施には両議会の承認が必要。大阪維新はともに過半数を満たさず、今回は「自主投票」で臨んだ公明党などとの協力が欠かせない。
都構想は大阪市をなくし、東京23区のような特別区に再編する制度改革。5月に市内で住民投票をした結果、反対が70万5585票と賛成を1万741票差(約0・8ポイント差)で上回り、廃案となった。
「進め方が拙速」との批判を受けた都構想について、橋下氏は選挙戦で「対話と協調」への路線転換をアピール。大阪の地盤沈下がとまらない中、橋下氏への復帰待望論も2勝の追い風になったと見られる。
自民党は住民投票で反対派の旗頭だった柳本氏を市長選に擁立。知事選に立てた栗原氏と共に、都構想再挑戦への批判を展開した。
2.関西広域連合発足5年 防災、医療など連携進展
(2015年12月1日 神戸新聞)
7府県4政令市でつくる関西広域連合は12月1日、2010年の発足から5年を迎えた。防災や医療分野など府県境を超えた広域行政で存在感を示す一方、発足時に掲げた国の出先機関移管は進まなかった。成果と課題が相半ばする中、次の5年間は国の権限委譲の受け皿としても真価が問われることになる。
(永田憲亮、斉藤正志)
同連合は10年12月、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、徳島の7府県で発足。12年には京都、大阪、堺、神戸の4政令市が加わった。地方分権改革と広域行政、国からの権限委譲を目的に、構成自治体が医療や産業振興など7分野の事務を分担する。兵庫県は防災と資格試験・免許の事務局機能を持つ。
5年間の成果としては、自治体個別の対応が難しい広域課題への対応が目立つ。東日本大震災では、府県ごとに支援先の県を決めるカウンターパート方式の支援が評価された。
域内でドクターヘリを共同運用し、原子力災害に備えた広域避難ガイドラインも策定。県の担当者は「府県の利害を超え、関西全体での取り組みとなった」と評する。
■国の権限移譲なお遠く
しかし、発足時に「丸ごと移管」を宣言した国の出先機関移管はもくろみが外れた。
民主党政権時に、出先機関の業務や職員を広域連合に移す法案が閣議決定されたが、自民党への政権交代後、動きはストップ。安倍政権になってからは議論が影を潜めた。
連合長を務める井戸敏三兵庫県知事は「国にその気がない」と指摘。地方自治法は広域連合に権限委譲の要請権を認める一方、国交省は「(広域連合は)継続的、安定的な団体ではない」とみる。受け皿機能を疑問視する国に対し、突破口は開けていない。
■大阪の関わり焦点に
最近の追い風は、懸案だった奈良県の加入決定だ。ようやく近畿2府4県の足並みがそろう格好となり、井戸連合長は「名実ともに『関西は一つ』になる態勢が整った」と意義を強調。今後、関西全体で南海トラフ巨大地震を想定した防災減災対策や広域観光事業などで実績を重ね、「生活感のある活動を目指す」と意欲を示す。
ただ、過去には橋下徹大阪市長が道州制の導入を訴え、都道府県の存続を主張する井戸連合長が慎重姿勢を示して対立したことも。
折しも、広域連合での活動が年々低調になった橋下氏の市長退任が目前に迫る。先のダブル選で、「大阪の副首都化」を旗印に統治機構改革を訴えた松井一郎府知事と吉村洋文・新大阪市長が、広域連合とどう関わるのかも注目される。
▼関西広域連合 地方自治法に基づく特別地方公共団体。7府県4政令市で構成し、現在、奈良県の加入を総務省に申請中。域内人口は約2千万人。月1回のペースで連合委員会が開かれ、首長らが行政課題を協議する。防災▽観光・文化振興▽産業振興▽医療▽環境保全▽資格試験・免許▽職員研修−の7分野で広域行政事務を進め、構成団体職員が事務局を担う。府県・市議会議員36人による連合議会もあり、連合長や各首長と質疑する。
3.関西広域連合 奈良県、加入
(2015年12月5日 毎日新聞/大阪)
関西広域連合は4日、構成団体に奈良県を追加する規約変更について、同日付で総務相の許可を得たと発表した。近畿2府4県で唯一未加入だった奈良県は、これにより正式な構成団体となった。
奈良県は広域連合が担う事務7分野のうち、防災と観光・文化振興の2分野のみの加入。規約変更で、地方議員による連合議会(現行定数36人)に奈良県の3人が加わり、定数は39人に増える。
広域連合は2010年12月に奈良県を除く近畿5府県と鳥取、徳島両県で発足し、その後、大阪、堺、京都、神戸の各市が参加した。
広域連合長の井戸敏三兵庫県知事は「名実ともに関西が一丸となる体制が整った。奈良県には豊富な歴史、文化資源の集積を生かした観光・文化振興などで重要な役割を期待する」と歓迎のコメントを発表した。荒井正吾知事もコメントを出し「これまでも進めてきた連携、協働をさらに進め、貢献していきたい」と表明した。
4.小沢鋭、松沢氏ら新党検討=「改革結集の会」母体に
(2015年12月11日 時事通信)
維新の党を離党し、衆院会派「改革結集の会」を結成した小沢鋭仁元環境相や小熊慎司氏ら4人と、無所属の松沢成文参院議員が年内に新党をつくる方向で調整していることが11日、分かった。基本政策に道州制の実現などを据え、将来的におおさか維新の会との連携も視野に入れている。
関係者によると、新党名の候補として「新自由党」や「自由保守党」などが挙がっている。年内に国会議員5人で結党を届け出れば、政党助成法上の政党要件を満たして2016年分の政党交付金の受領が可能になる。
5.民主 地方政策“一括交付金復活 道州制移行も”
(2015年12月14日 NHK)
民主党は、来年夏の参議院選挙に向けて、地方政策の中間報告を取りまとめ、地域主権型の社会を目指すとして、使いみちを地方自治体が決められる「一括交付金」を復活させるとともに、「道州制」への移行を選択肢として掲げています。
民主党は、来年夏の参議院選挙に向けて、地方政策の中間報告を取りまとめました。
それによりますと、住民の判断と責任で地域の課題に取り組む、地域主権型の社会を目指すべきだとしています。具体的な政策として、▽地域の自主的な取り組みを後押しするため、使いみちを地方自治体が決められる「一括交付金」を復活させるほか、▽広域的な経済政策や集中したインフラ整備などを行うための選択肢として、地方の判断で「道州制」に移行できるとしています。また、▽国の出先機関の機能を可能な限り地方に移管するほか、▽東京から地方への首都機能の移転や分散も本格的に検討するとしています。
民主党は、この中間報告を参議院選挙のマニフェストに盛り込む方針で、地域主権型の社会を目指すことで、安倍政権との対立軸を際立たせたい考えです。
6.道州制念頭に「憲法改正を」
(2015年12月15日 毎日新聞)
国政政党「おおさか維新の会」の松井一郎代表(大阪府知事)は14日、「統治機構改革をするために憲法改正したい」と述べ、地方自治について規定した92条の改正を目指す考えを明らかにした。府庁で記者団に語った。同党が掲げる道州制の導入を念頭に置いた発言とみられる。
松井氏は来夏の参院選で、与党と合わせて憲法改正の発議に必要な3分の2の議席獲得を目指す意向を改めて表明。一方、「我々の改正は統治機構改革を中心に据えており、自民党とは違う」とし、9条改正を掲げる自民党との違いを強調した。さらに改正の発議要件を規定した96条についても「議論すべきだ」と語った。
【松井聡】