最近の注目情報2015年7月)

 

1.橋下徹君へ「なぜ君は敗北したか教えよう」 <大前研一の日本のカラクリ>

2015年7月13日号 PRESIDENT

 日本の活力を奪っている諸悪の根源は中央集権であり、これを打破するには統治システムの変革、すなわち道州制への移行が不可欠、というのが道州制論者である私の基本的な考え方だ。しかし、日本の中央集権は堅牢でなまなかでは突き崩せない。そこで橋下市長のような戦国大名が地方から中央に刃を突き付けて緊張感を与えて、変革を促していく。大阪都を筆頭にそれぞれに力を蓄えた“変人首長”率いる地方が連携して中央に変革を迫れば、大政奉還のような形で道州制や連邦制へ移行するチャンスがやってくるのではないか。かつて月刊誌『文藝春秋』で「新薩長連合」を唱えて何人かの首長と連携して自ら東京都知事選に打って出て(青島幸男氏に)惨敗した私は、橋下市長こそがその志を実現してくれる人物だ、と応援してきた。

 

 「大阪都構想をピカピカに磨き上げることが何より大切」と私は再三アドバイスしてきたつもりだ。にもかかわらず、維新人気の高揚感もあったのだろう、橋下市長は石原慎太郎氏と組んで上洛、国政に歩を進めてしまった。

 

 大阪市の住民投票における橋下市長の敗因は何だったのか。一つ大きかったのは堺市に逃げられたことだ。10年に大阪維新の会が示した構想は、大阪市と堺市、2つの政令指定都市を廃止・再編、大阪都下に20の特別区を設置するというものだった。

 

 「我々の最終目標は道州制の実現であり、オール関西の広域連合をつくりあげることです。関西が一つになれば経済規模はカナダに匹敵するし、世が世ならG7にだって参加できる。その夢のファーストステップが今回の大阪都構想なのです。私の不徳の致すところで、堺市は不参加になりましたが、この大阪の地で都構想を先行させたい。その素晴らしさを皆さんに示すことができたなら、いずれ堺の人たちも『一緒にやろう』と言ってくれるでしょう。関西の大発展に向けた大事な第一歩をここから踏み出しましょう」

 

 こうしたアピールをしていれば、住民投票の1万票差から判断しても圧勝していたに違いない。「負けは負け」ではなかった、というのが私の判断である。

 

 

2.特別自治市の実現訴え 指定都市市長会、総務相に

2015年7月14日 神戸新聞)

 指定都市市長会(会長・林文子横浜市長)と高市早苗総務相との懇談会が13日、東京都内で開かれ、久元喜造神戸市長らは多様な大都市制度実現やマイナンバー制度に関わる個人情報保護対策の徹底を要望した。

堺市の竹山修身市長は「道州制の議論が最近下火だが、私たちは関西広域連合をつくっており、やる気のあるところには権限委譲を認めてほしい」と主張した。

 高市氏は「国の出先機関移転は、本年度かなり進める。地方の積極的な提案を待っている」と話した。

(小西博美)