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1.大阪都構想を無駄にしない!・・・その遺産を活かして分権・地域主権改革→道州制
(2015年5月25日 江田憲司ブログ)
大阪都構想の住民投票による否決の責任をとって、橋下さんが引退表明しただけでなく、私まで党代表を辞任したことに、少なからず「驚いた」という反応をいただきました。
しかし、何度も繰り返しますが、大阪都構想は、ひとり地域政党「大阪維新の会」の原点であるだけでなく、国政政党・維新の党の原点中の原点でもあるのです。それは、「中央集権」を打破し、「分権・地域主権改革」、ひいては将来の「道州制の導入」につながる、この国のかたちを変える一大改革、その歴史的一歩となるはずの構想でした。その原点たる政策が否定された以上、私にとっては「辞任」という選択肢しかありませんでした。この構想に、その初期の段階から関わってきた者として、万感胸に迫るものもありました。
私と橋下さんとは、2001年秋、某民放局のテレビ番組で同じレギュラーを務めた頃からの付き合いです。その後、私は政治家の道を歩み、橋下さんは「茶髪の弁護士」として高視聴率番組を席巻し、一躍有名となりました。一時は会う機会もなく疎遠になっていましたが、再び、接近したのが、橋下さんが大阪府知事となり、その後、大阪維新の会という地域政党を立ち上げ、「大阪都構想」をひっさげてW選挙(府知事、市長選/2011年11月)を仕掛けた頃からです。
4年前、2011年4月の統一地方選では、その「大阪維新の会」と当時のみんなの党(幹事長が私)との連携も模索しましたし、大阪都構想立案では、要請されて、みんなの党のブレインを何人も大阪に派遣しました。そして、W選挙勝利で挨拶(2011年12月)にみえた橋下市長、松井知事には、早々に、現在の「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(大阪都構想実現のための法律)の原案となる新法案を両氏に手渡したのです。
橋下さんが府知事の頃、記者会見場の背景には「関西州の実現」と書かれていたことをご記憶の方もいるでしょう。そう、本来は、橋下さんも「大阪都」ではなく、国に先駆けて「関西広域連合」を「関西州」にすることを考えていたのです。しかし、当時の兵庫県や奈良県知事の反対で進まないので、しょうがない、大阪だけでもやろうとなって「大阪都構想」を提案したのです。
ですから、この構想は、あくまで大阪府内の権限、財源を大阪府内で再配分しようとするもので、「道州制」や「関西州」と比べれば、中途半端な改革でしかありません。しかし、「道州制」は国が動かない、「関西州」は関西が動かない、じゃあ大阪だけでも先鞭をつけて、それが成功すれば関西へ、国全体へ必ず波及する、その信念で実現に向けて邁進してきた構想だったのです。
維新の党は、その「国側の受け手」として設立された新党です。「統治機構改革」で「この国のかたち」を変える。明治維新以来、連綿として続いてきた「中央集権体制」を打破し、地域のことは地域に任せる。地域のことは地域が一番知っているのだから、中央から地域へ徹底的に権限、財源を移譲して、その地域が決める。維新の党は、こうした「国のかたち」を根底から変えないと、この国の将来はないと考えています。
「道州制」と言うと誤解も生むのですが、まずは基礎自治体(市区町村)に国から権限、財源を徹底的に移譲する。そして、その市区町村をまたがる「広域行政」(例:道路等のインフラ整備、産業誘致、災害対応等)は「道州」が担う。そうすれば、国(中央)の役割は、外交・安全保障、マクロ経済・金融、社会保障のナショナルミニマム等に限定されるでしょう。我々は、大阪都構想が潰えても、その遺志、遺産を活かし、国政の場で必ず、この「市区町村が主役の道州制」を実現してまいります。
永田町では相変わらず、こうした事態を受けて、維新の党は早晩分裂するだろうと無責任な評論をしている政治メディアがあります。しかし、我々は、こうした基本政策で完全に一致した政治集団です。橋下さんら大阪系議員は与党志向、私を含む東京系は野党志向と、ろくな取材もせず、その方が面白いからと、ステレオタイプの情報を垂れ流しています。
しかし、橋下・江田は、当面は、自民だ民主だと言わず、独自路線でいこうということで完全に一致しています。政策で維新カラーを打ち出し、国会論戦を通じて国民の理解を得て、党の基盤を固めていくことが大事であり、今国会で論戦されている安全保障法制、労働者派遣法等でも、維新の対案を安倍政権にぶつけていくことで、存在感を出し党勢拡大を目指していきます。
私も「一兵卒で汗をかく」と辞任会見でお約束しましたので、早速、今週木曜日、現下の最重要課題、安保法制の特別委の党トップバッターとして、安倍総理との論戦に挑みたいと思います。そこでは、どこかの党のような「反対のための反対」ではなく、核・ミサイル技術の進展等による軍事オペレーションの変容」に応じた、「自衛権行使」のあり方を論じ、国民の不安や疑念を払しょくするための「歯止め」をしっかりかけていきたいと思っています。