最近の注目情報詳細(2014年6月)
1.「九州府構想」の実現に向け活動 九州市長会長再任、釘宮氏が意向表明
(2014年5月28日 西日本新聞)
九州市長会会長に今月再任された大分市の釘宮磐市長は27日、「今の安倍政権の中では地方分権の議論が盛り上がっていない。(九州市長会が)議論の火付け役にならないといけない」と述べ、同市長会が昨年まとめた道州制導入に伴う「九州府構想」の実現に向けて活動する意向を示した。同日の定例記者会見で語った。
釘宮市長は、民間の政策提言機関の試算で2040年には、全国の自治体の半分に当たる896の市区町村で20〜30代の女性人口が半減する可能性があることに触れ、「自治体の多くが自然消滅してしまう状況にどう対応していくか、という観点から統治機構が整備されなければいけない」との見解を示した。
2.道州制法案の提出先送り 自民推進本部
(2014年6月12日 日本経済新聞)
自民党道州制推進本部の今村雅弘本部長は12日、道州制導入までの手続きを定めた基本法案の今国会提出を断念し、秋の臨時国会以降に先送りすることを決めた。今村氏は同日、首相官邸で菅義偉官房長官に提出断念の意向を伝え、記者団に「今国会は日程的に厳しい。臨時国会で提出を目指す」と語った。
道州制は都道府県を廃止し、全国を10程度の道や州に再編する構想。法案は有識者らによる「国民会議」をつくり、道州の区域割りなど具体案を検討する内容。
法案提出を巡っては全国町村会が「道州制によって小規模な町村は体制強化のために合併を迫られる」と反発。自民党議員にも反対論が広がっていた。
3.道州制、戦略練り直し 推進運動は長期戦の様相
(2014年6月16日 河北新報)
村井嘉浩宮城県知事が旗振り役となり、道州制実現を強力に国へ働き掛けてきた推進知事・指定都市市長連合が戦略の練り直しを迫られている。自民党は12日、今国会への基本法案提出を断念し、村井氏と共に共同代表として連合を率いてきた橋下徹大阪市長もかつての求心力を欠く。推進運動は長期戦の構えを強いられている。
<いら立ち隠さず>
「これだけ内閣支持率が高いのだから、やろうと思えばできるはずだ。できない理由などない」
村井知事は9日の定例記者会見で、道州制実現を政権公約に掲げておきながら、法案提出に踏み切らない自民党へのいら立ちを隠さなかった。
当初、自民党道州制推進本部は今国会での基本法成立を視野に入れていた。検討機関の国民会議が設置され、本格的な制度設計にステージが移れば、推進連合は発展的に解散する方針だった。
自民党内の合意を阻んだのは、道州制に反対する地方の圧力だった。8知事15政令市長が名を連ねる推進連合に対抗するように、4月には吉村美栄子山形県知事や佐藤雄平福島県知事ら8知事が、慎重対応を求める要望書を与党に提出。道州制が市町村合併の圧力になると懸念する全国町村会なども攻勢を掛けた。
秋の臨時国会に法案を提出する道筋は残るが、「基礎自治体の反発が強い。来年の統一地方選を考えると一気呵成(かせい)には進めないだろう」(宮城県選出の自民党衆院議員)と悲観的な見方が漂う。
道州制導入には橋下氏率いる日本維新の会と、みんなの党の第三極勢力が前向きだった。だが、みんなは昨年12月に分裂し、維新も今月中に解党大会を開くなど、実現に向けた推進力には陰りが見える。
<主要課題に浮上>
今後、停滞した道州制論議を動かす鍵と考えられるのが、国政の主要課題に急浮上した「人口減」への対応策だ。
学識経験者らでつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は5月、地方が将来直面する「消滅可能性都市」を公表。域内の人口流出を食い止めるブロックごとの拠点都市形成を提起した。
同月発足した政府の第31次地方制度調査会(地制調)でも人口減に即した自治体組織の在り方が諮問事項に挙がり、道州制推進を掲げる日本経団連の畔柳信雄副会長(三菱東京UFJ銀行特別顧問)が就いた。
推進連合の事務局を担う宮城県震災復興政策課は「人口減への対応は地方を含む国家ビジョンの再構築が避けられない。道州制の本質を議論する土台が形成されるのを待つしかない」と議論の推移を見守る構えだ。