最近の注目情報詳細(2013年9月)
1.『沖縄自治州―特例型沖縄単独州を求めて―』 道州制考える切り口提起
(2013年8月25日 琉球新報)
道州制導入に関する動きが加速しつつある中で、沖縄県議会議員経験者の会(外間盛善会長)が約2年にわたる調査研究の成果として『沖縄自治州―特例型沖縄単独州を求めて』を発刊した。
2007年にオール沖縄で「沖縄道州制懇話会」が結成され、1年目の08年5月に第1次提言を公表、2年目の09年9月に提言書をまとめ県知事と県議会議長に提出している。懇話会は審議の公開、マスコミ報道、シンポジウム開催等によって県内世論を大きく高めると同時に、中央政界や経済団体等に提言内容を知らせることができた。そのことが「沖縄単独州」を中央レベルで認知させた大きな原動力になっている。
この懇話会の意志を引き継ぐ形で、県議会議員経験者たちが与野党派を超えて「沖縄単独州県議OB会」を結成し、「特例型・沖縄単独州」実現を目指して活動してきた。本書にはその活動の基礎となった論文、インタビュー、Q&Aに加えて、歴史的価値のある貴重な文書資料(19点)が収録されている。
大田県政時代に、沖縄は国際都市形成構想と全県フリーゾーンを含む経済特別区、その受け皿としての一国二制度や特別県制構想などが全県的に論議されたことがあった。当時、韓国・済州島は沖縄に3回も調査団を送り、沖縄から学んで「済州島自治政府」を実現している。本書で呉錫畢先生が「済州特別自治道」の現在・展望及び考察について述べているが、教えた側が先を越された形ではあるが沖縄も見えてくる。
道州制論議の最大の難関である経済・財政問題について、宮城弘岩氏の「特例型沖縄単独州の経済論」は重要な切り口を提起している。また、沖縄単独州に関するQ&Aはとても分かりやすい解説が入っている。
資料編では、久場政彦/なぜ「沖縄方式」か(1971年)、比嘉幹郎/沖縄自治州構想論(1971年)などの貴重な論文、復帰を前に琉球政府(屋良主席)がまとめた建議書の一部も入っている。本書は、沖縄を知り、これからの沖縄を考えていく上でまさに貴重な必読書である。
(狩俣吉正・元連合沖縄会長)
<『沖縄自治州―特例型沖縄単独州を求めて―』 沖縄県議会議員経験者の会 編 琉球書房・1500円>
2.中四国州の推進削除 岡山県
(2013年8月30日 中国新聞)
岡山県は29日、県政の指針となる中期行動計画(2012〜16年度)の改定素案(14〜16年度)をまとめた。昨年11月に就任した伊原木隆太知事が主導して、現計画の柱の一つだった道州制導入による「中四国州構想の推進」を削除した一方で、教育の再生や産業振興に重点を置いた。
中四国州構想の推進は、現計画を作成した前知事の石井正弘氏(現参院議員)の肝いりで盛り込まれていた。削除した理由について伊原木知事は「道州制による効果や影響が明確ではなく、適否を判断する状況に至っていない」と述べた。
25年ごろを目標年とする長期構想についても、併せて改定するための素案をまとめた。「中国・中四国地方の枠組みや近隣県との間で広域連携を一層推進する」とし、道州制の議論の前に広域連携の実績を積み重ねる方針を明確にした。
中期行動計画の改定素案では、教育県岡山の復活▽地域を支える産業の振興▽安心で豊かさの実感できる地域の創造―の3分野を重点戦略に掲げた。また、文部科学省の全国学力・学習状況調査で本年度小学校38位、中学校32位だった平均正答率の都道府県順位はともに10位以内を目指すなど、90の数値目標を設定した。
県議会の議決を経て年内に中期行動計画や長期構想を正式決定する。
3.全国知事会、道州制で総務相に意見書
(2013年9月2日 日本経済新聞)
全国知事会は2日、与党の道州制推進基本法案に関する意見書を新藤義孝総務相に提出した。7月の全国知事会議で採択した内容で、中央省庁の再編、市町村の役割、道州の財政格差対策などの明示を求めた。総務相は「与党できちんと議論しないと後で大変になる」と理解を示しつつ、法案の国会提出の見通しなどへの言及は避けた。
知事会の上田清司・地方行政体制特別委員長(埼玉県知事)は面会で「与党の基本法案には道州制の骨格が示されていない。(基本法成立後に制度の詳細を議論する)国民会議に丸投げしている」などと訴えた。
4.橋下氏「五輪招致には大阪都」 堺市長「関係ある?」
(2013年9月11日 朝日新聞)
15日告示の堺市長選をめぐり、大阪維新の会代表の橋下徹・大阪市長は10日、「大阪府、堺市、大阪市が一本化しないことにはオリンピックは呼べない」と述べ、東京五輪の招致成功にからめて、改めて大阪都構想の必要性を訴えた。市役所で記者団に語った。堺市長選で維新は前堺市議の西林克敏氏を擁立する。
これに対し、都構想反対を掲げて再選をめざす堺市の竹山修身市長は同日、記者団の取材に「オリンピックと都構想は関係あるんですかね」とチクリ。都構想の次に維新が実現をめざす道州制を引き合いに「その頃には関西州できてるんちゃいますの」と皮肉った。
大阪市は2008年の五輪開催を目指し、落選した経緯がある。
5.地方分権6割「推進を」/香川県民世論調査
(2013年9月17日 四国新聞)
国から県・市町に権限や税財源を移譲する地方分権の推進について、県民の約6割が賛成していることが、2013年度の県政世論調査(速報)で分かった。「地方独自の地域づくりができる」「住民の意見が反映されやすくなる」ことが主な理由。受け皿となる行政の広域連携のあり方については、複数の地方自治体が一部の事務を共同で処理する「広域連合」を7割が支持し、都道府県に代えて道・州を置く「道州制」は2割弱にとどまった。
調査は6月10日〜7月1日、20歳以上の県民3千人を対象に、郵送のアンケート形式で実施。1602人が回答した。回答率は53・4%。
地方分権に「賛成」(17・5%)と「どちらかといえば賛成」(41・1%)を合わせると58・6%で、「どちらかといえば」を含めた反対の12・0%を大きく上回った。賛成理由は▽地方の自由度が高まり独自のサービスや地域づくりができる▽中央省庁の縦割りではなく、効率的な行政が可能▽東京一極集中が是正できる―などが挙がった。
広域連携のあり方では、都道府県を残したままで広域的な事務を地方自治体で共同処理する「広域連合」に70・8%の支持が集まる一方、都道府県を廃して道州を置き、国防や外交などを除く事務を道州と市町村で担う「道州制」は17・5%にとどまっている。
道州制に限定した質問では、「どちらかといえば」を含めて賛成は34・5%で、「どちらかといえば」を含め反対が26・2%。反対の理由(複数回答)は「都道府県より範囲が広がり、住民の声が届きにくくなる」(59・9%)「道州内で州都と他地域との格差が広がる」(41・8%)など。現在の都道府県を廃止する一大変革だけに、懸念や抵抗感もうかがえる。
道州制が導入された場合に香川を含む州で望ましい区域割りは、「四国州」が54・9%でトップ。中四国9県の「中四国州」が14・5%で続いた。