最近の注目情報詳細(2023年1月〜2月)
1.知事定例記者会見
(2023年1月27日 北海道HP)
◎記者からの質問 10.道州制特区について
(北海道新聞)
道州制について聞きます。地方分権や道州制に関する議論は、1990年代から2000年代にかけて活発化し、旗振り役だった道の働き掛けもあって、道をモデル地域に07年度に道州制特区が導入されました。現状、知事は道州制や道州制特区についてどのようなお考えを持っているのか教えてください。
(知事)
ご質問にもありましたけれども、平成19年4月に「道州制特区推進法」が施行されまして、同年7月に「北海道道州制特別区域推進条例」が制定されたところです。国への提案については、平成19年12月の第1回提案を行って以来、これまで6回、33件を国に提案し、このうち特区として実現した2件を含む28件について、国において所要の措置が講じられたところであります。「道州制特区推進法」に基づいて、国に対して権限移譲などを求めることができる仕組みは、北海道にだけ認められているものでありますので、さまざまな課題解決に向けた政策の手段として、この制度も活用していくことが重要だと考えています。今後とも、幅広く国の制度を活用しながら、大事なのは財源と併せて権限が移譲されることだと思っていますので、地方分権の推進に努めていきたいと考えています。
(北海道新聞)
今のお話にありましたけれども、実際に移譲された件が2件ですとか、あと国に提案する立場である道の(提案)検討委員会の経過を見てもですね、最近は提案自体も途絶えていたりですとか、道民からのアイデアもあまり寄せられなくなっていると聞いています。全国的に地方分権ですとか、道州制の機運がしぼんできたとも言われていて、きつい言い方をすれば、検討委員会も今形骸化しているようにも見えるのですけれども、委員会の今後も含めてですね、今後もこれを続けていくというふうな理解でいいのか、あらためて教えてください。
(知事)
私は続けていきたいと思っています。政策実現の手段としてあるわけですから。いろいろアイデア募集などもやっているのですけれども、かなり意識が変わってきているというのは、率直に事実としてあると思いますけれども、やはり皆さんから広く提案を募集したりだとか、あとは庁内においても、あらためて提案すべき内容がないかだとか、そういうことをしっかり考えながら、検討委員会において審議いただくこと自体は、私は必要ではないかと思っています。
(北海道新聞)
基本的に今の制度を維持して使っていくということだと思うのですけれども、知事は元々都職員をなさっていて、夕張市長をなさって、道知事になられたということで、地方自治ですとか、そのあり方、仕組みについては一家言がおありかと思うのですけれども、道州制というもの自体が、機運がしぼんできたりですとか、なかなかそういうような指摘がある中で、今おっしゃったようなこれまでどおりのやり方ですと、どうしても提案ですとかが出てきたりというのは、ちょっとなかなか考え難いのかなとすると、そういうバックグラウンドがある知事として、新しい打ち出しですとか、もしくはいっそですね、もう一定の役割を終えたという決断をされるというのも、一つ知事カラーの出し方なのかなと思うのですけれども、最後にこれだけもう一度教えてください。
(知事)
法律や制度があるというのは、政策実現の一つの手段としては、私はいいと思っています。あとは国民全体の議論とか、私も内閣府にいたときに、義務付け、枠付けの見直しだとか、一括分権の法案の取りまとめとかをやっていましたけれども、当時は民主党政権で、さまざま法律上に義務付け、枠付けとか、また権限移譲に関する項目とか、法律や関係法令について、一律全ての省庁所管の法律をチェックして、一括法案ということで取りまとめてやっていたのですよね。形骸化している条文があったり、いろいろなことがありましたので、一括してさまざまな見直しを行った中で、義務付け、枠付けとか権限移譲の関係とかも、積極的な提案とか法律への反映とか、ある程度そういうものも行われたのは事実としてあります。また、必要性も時代に応じて変わってくるので、ツールを使って国に対して提案していくこと自体は、社会情勢の変化の中で必要になってくるかもしれませんので、そこは活用する必要があるのではないかと思っています。
ただ、私の大きな問題認識としては、コロナの対策とかもそうなのですけれど、今、異次元の少子化対策ということで政府も言っているのですけれど、国がやるべきことと、都道府県がやるべきことと、市町村がやるべきことというのがあるのですけれど、市町村が一番身近ですよね。都道府県が広域自治体で、国が住民からの距離が遠いのです。そういう状況の中で、地方分権とか地域主権とか、いろいろな言葉で叫ばれてきたのですけれども、国がどこまでやるとか、都道府県がどこまでやるのか、市町村がどこまでやるのか。例えば子育ての今回の件で言っても、少子化もかなり出生率も下がってきていますから、そういう中で明確に役割分担して、全体の整理をしていく時代になっているのだろうと思うのです。だから、自治体経営のあり方とか、その枠組みというのももちろんなのですが、日本全体をどうするのという中で、都道府県の役割とか、市町村の役割というのを整理する時代なのではないかと思っています。私も市町村で首長をやって、都道府県で知事をやって、市と都と国でもそれぞれ働いてきた中で見ると、やはり大きく背景が変わってきているので、そういう議論をする必要があるのではないかと思っています。ただ、どうしても既存のいろいろなルールに肉づけしていくということを繰り返しているので、大胆な対応が難しいという状況が議論を妨げているということがあるのではないかと思いますよね。
2.「東京一極集中」コロナ禍で流れ弱まるも“再び加速”
…東京都の転入超過が3年ぶりに拡大…去年は3万8000人余り
(2023年1月30日 TBSテレビ)
去年1年間で、東京都へ転入してきた人の数が転出者を上回る「転入超過」が3年ぶりに増加しました。コロナ禍で緩和されていた東京一極集中の傾向が再び強まりました。
総務省は去年1年間に都道府県別に転入してきた人と転出した人の数の差を調べた人口移動報告を発表しました。
それによりますと、東京都では転入者が転出者を上回る「転入超過」が3万8023人となり、おととしと比べて3万人以上増えました。
東京都の「転入超過」はコロナ前は毎年7万人から8万人程度で推移していましたが、コロナ禍の2020年は3万人台、2021年は過去最少の5433人と減少傾向となっていました。
コロナ禍を機に人口の「東京一極集中」の流れが弱まっていましたが、社会経済活動が再開し始めたことで3年ぶりに強まった形です。
3.大阪、脱・東京一極集中を先導 副首都ビジョン改定
(2023年2月2日 日本経済新聞/大阪)
大阪府・市などは2日、副首都推進本部会議を開き、大阪の成長戦略を示す「副首都ビジョン」の改定案を決めた。府のGRP(域内総生産)を2040年までにGDP(国内総生産)シェアの1割にする目標のほか、経済都市として東京一極集中解消を先導することを盛り込んだ。
ビジョンは東京に次ぐ副首都を目指す上で必要な都市機能や制度のあり方を示すもので、大阪府・市は「大阪から国の形を変えるための羅針盤」と位置づける。17年の策定後、大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都構想」の20年の住民投票否決を受け、21年12月から改定作業を進めていた。
旧ビジョンでは「副首都」の役割として、災害時の首都圏のバックアップ機能を前面に掲げていたが、改定版では経済機能の強化を強調。新たな成長産業を創出し、東京一極集中の是正につながる経済力を持った副首都を50年代に確立するとした。
経済目標として、現在約40兆円でGDPの約7%を占める府の名目GRPを、40年に60兆円(GDPシェア10%)、50年代に80兆円(同12%)に倍増させる数値を設定。ライフサイエンス・ヘルスケアといった医療や次世代エネルギーなどの脱炭素分野と、従来から強みとする観光業などを掛け合わせた新たな成長産業で経済成長を促し、スイス並みの経済規模を目指す。
府民のウェルビーイング(心身の健康や幸福)も重視する。府民を対象にした22年のアンケートで約55%だった「副首都化に対する府民の認知度」を40年に7割以上、50年代に8割以上まで引き上げる。経済成長とQOL(生活の質)に乖離(かいり)が出ないよう、府民と認識を共有して政策を進めることで副首都実現の推進力を高めるのが狙いだ。
松井一郎副本部長(大阪市長)は会議で「大阪では大阪市の人口が増え、一極集中が進んでいる。若い人が住みやすい環境を府内全域でつくらなければならない」と指摘した。
府・市は大阪の経済機能の強化により、中央省庁の移転など政治・行政の分権が進むと想定する。中央に集中する各機能やヒト・モノ・カネを複数の大都市に分散させ、将来的には道州制の実現につなげたい考えだ。佐々木信夫大阪府・市特別顧問(中央大学名誉教授)は会議で「関西には優れた研究機関が集積している。米シリコンバレーと競える先端経営連合を京阪神で形成すべきだ」と主張した。