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1.2021衆院選 地方政策 分権論議どこへ行った

202110月24日 北海道新聞

 出口の見えない新型コロナウイルス禍で地方の疲弊は一段と加速した。自治体は地域の保健医療と経済の立て直しに追われている。

 各党は地方向け政策でコロナ対策への注力を競っている。危機的状況の自治体や住民に国が手を差し伸べるのは当然だ。

 ただ、コロナは地域で感染状況が異なる。全国一律ではなく地域の事情に精通した自治体が政策を迅速に講じる体制が求められる。

 そのためには地方分権の推進が欠かせない。コロナ対策にとどまらず、住民生活全般に関わる権限と財源を、国から自治体に移譲することを改めて検討するべきだ。

 第2次安倍晋三政権と菅義偉政権は地方創生を看板政策に掲げたが、東京一極集中に歯止めはかからず、地域の活性化に結び付いたとは言えない。

 国と地方の関係を対等とした地方分権一括法が2000年に施行されてから20年以上が過ぎた。

 自民党も道州制の推進を掲げ、分権論議が活発な時期もあったが、現在は停滞している。中央集権的な行政構造は改まっていない。

 衆院選の公約で、立憲民主党は自治体への一括交付金の新設を掲げる。日本維新の会も中央集権から分権体制への移行を打ち出す。

 国民民主党は地方の権限強化を提起し、共産党は自公政権の地方行革に反対すると強調する。

 一方、自民党は地方政策でデジタルを活用した活性化に言及し、公明党もデジタル人材の育成を地方創生につなげると主張する。

 ただ、本格的な分権論には踏み込んでいない。選挙戦を、国と地方の関係について議論を再喚起する機会にしなければならない。

 コロナ禍では、病床とともに保健所業務も逼迫(ひっぱく)し、在宅療養者が死亡する一因ともなった。行革の流れの中で統廃合が進められた保健所の機能強化も、忘れてはならない政策課題である。

 地方分権の推進には、財源の裏付けが欠かせない。コロナ禍の初期に道は、十分な独自財源を確保できていないとして、本格的な対策が遅れがちだった。

 小泉純一郎政権時代の三位一体改革に伴う地方交付税の削減は自治体財政を圧迫し続け、昨年度はさらにコロナ禍が直撃した。

 財政力の弱い自治体は国の補助金や交付金に依存しがちで、分権論議の後退にもつながっている。自治体運営に必要かつ十分な財源を交付税で確保する。この基本を国政で再認識してもらいたい。

 

 

2.道州制の再議論を提案

2021年10月25日 トラベルニュース)

JATA(日本旅行業協会)とANTA(全国旅行業協会)が共同で、斎藤鉄夫国土交通大臣へ観光促進活動促進に向けた要望書を提出した。そのなかで約40の県で行っている県内宿泊キャンペーンに関して、県域を越えた隣接県エリアにまで範囲を広げるよう要望している。また、国内旅行においてもワクチン・検査パッケージを一層活用し、県境を越えた移動の促進を図ることを求めている。後日、日本観光振興協会が斉藤大臣に提出した「ワクチン接種の進展に伴う観光再起動に向けた緊急要望」でも、ワクチン・検査パッケージの活用による県民割の利用エリアの拡大を訴えている。

2つの要望書から、かつて隣接県の情報をまったく記載せず観光客の目線を無視し作成されていた観光マップを連想した。観光行動では意識していない県境がコロナ禍によって改めてクローズアップされたように思うが、どうだろう。

そこで思い出したのが道州制。少し前まで導入の議論を重ねられていたのに、とんと聞かなくなった。

道州制が実現していれば、今回の要望はまた違った論点になっていただろうし、現行の中央集権では感染拡大への迅速な判断や対処ができなかったこと、自治体の権限不足などの弱点も浮き彫りになった。

総選挙真っただ中。再度道州制が論点になってもいいのではないか。

 

 

3.衆院選と憲法改正 真正面から論ずるときだ

2021年10月27日 産経新聞)

国民に対して憲法改正を発議する役割は国会だけが負っている。衆院選は、改正論議の絶好の機会であるはずだ。にもかかわらず、憲法改正をめぐる議論が盛り上がっていないのは残念だ。

憲法のありようは、政治や安全保障、国民の暮らしに密接に関わっている。75年前に公布された今の憲法に、改めたほうがよい点が出てくるのは自然だろう。

主要な政党のうち、憲法改正に前向きな姿勢なのは自民党、日本維新の会、国民民主党だ。

岸田文雄首相は自民総裁選や衆院選のインタビューなどで、総裁任期中の憲法改正実現を目指す考えを示した。自民は公約で、緊急事態条項創設や第9条への自衛隊明記など改憲4項目の「早期実現を目指す」と明記した。

維新は、教育無償化や道州制などの憲法への明記を公約し、改正論議の必要性を訴えている。国民民主は、デジタル社会における人権保障や内閣による衆院解散権の制約などを公約に盛り込んだ。

「加憲」の立場の公明は検討事項として、緊急事態における国会機能の維持やデジタル社会の人権保障などを挙げるが、自衛隊明記には慎重だ。

憲法改正の必要性を認めない共産、社民との選挙協力をしている事情もあるのか、立憲民主党は公約で憲法改正に触れていない。

この3党と、れいわ新選組は「新型コロナウイルス禍に乗じた憲法改悪に反対」する、事実上の政策合意を結んでいる。

だが、コロナ禍は、現憲法の欠陥を示したとはいえないか。ロックダウン(都市封鎖)の制度創設や中国・武漢からの帰国者の隔離をめぐって、憲法第22条が保障する「移転の自由」を理由に慎重論があった。同条に「公共の福祉に反しない限り」との条件がついている点を重んじない解釈がまかり通っている。

北朝鮮や中国による新型ミサイル開発で、防衛のための敵基地攻撃能力保有も必要になってきたのに、9条を理由にした保有反対論がある。

国民を守らない憲法とは本末転倒の存在ではないか。南海トラフの巨大地震や首都直下地震や有事など大災害に備える上で、緊急事態条項が今ほど求められているときはない。岸田首相や各党は日本の課題解決に、憲法改正も用いるべきである。