最近の注目情報(2016年8月)
1.道州制導入ならば都府県は廃止しなければならないのか?
(2016年8月12日 鈴木しんじ The Vote.jp )
道州制の導入と都道府県制度の廃止はセットとして主張されている。しかしながら、道または州と市町村という二層制の地方制度に改正することは適正性を欠くとともに非現実的であり、国が財政移転を行う対象となる地方政府を限定した上で三層制に拡大する方がむしろ望ましいと筆者は考える。
@現状の都府県を残して権限を縮小するか、A都府県を廃止して、それよりは小さいレベルで市町村より大きい広域自治政府(首長・議会が公選である)を構築し、三層制の地方制度に変更することが妥当な改革案として考えられよう。実際に、三層制以上の地方制度をとっている国としては、アメリカ・中国など面積・人口が非常に大きい国のみならず、フランス・イタリアなど日本と国土面積が大差ない国々もあげられる。一方で、二層制から三層制への拡大となれば、かえって行政コストが拡大するのではとの懸念が生じよう。これに対しては、補助金・地方交付税など税制移転を行う対象とする地方政府を限定する(たとえば、国→州のみ、国→州と広域自治政府)などして、財政移転の肥大化を防ぐ工夫が不可欠となる。
もう一つの懸念としては、州内の最大都市が州都になれば、そこへの一極集中がすすむことが予想される。現在、唯一「道州制が実現されている」北海道では、道庁所在地かつ最大都市である札幌への一極集中が進み、県単位への分割を求める動きさえ存在する。人口減少が進む一方で東京一極集中が依然として収まらない中、各地方において少なくとも一か所だけは発展する都市が存在するというのは否定すべきことではない。しかしながら、できるだけ一極集中がすすまないような制度設計をすることは重要である。
◎ http://thevote.jp/tokushu/2016/08/dosyusei/