最近の注目情報詳細2016年6月)

 

 

1.政府機関の地方移転と地方創生

〜政府関連機関の移転よりも県庁所在地を再考すべきでは〜

2016年5月18日 小笠原泰 明大教授ブログ)

埼玉と千葉は東京都との県境の関係で集中度が20%を切るが、他の政令指定都市への人口集中度は3割から6割ときわめて高い。そもそも地方自治体としての自由度が高いのが政令指定都市であり、そこに県庁が存在するのは二重行政も含めて無駄であろう。県の資源は、政令指定都市以外に振り向けるべきではないか。

 

その意味で、例えば、北海道の道庁は旭川市、宮城県庁は石巻市、新潟県庁は長岡市、千葉県庁は木更津市、埼玉県庁は熊谷市、神奈川県庁は小田原市、静岡県庁は三島市、愛知県庁は豊橋市、京都府庁は亀岡市、兵庫県庁は姫路市、広島県庁は福山市、福岡県庁は久留米市などに移転してはどうであろうか。

 

このような県庁移転に加えて、道州制(その是非は置くが)を真剣に考えるのであれば、県を発展的に解消することもあるであろうが、その前段階として、県庁の移転を機会に政令指定都市を都道府県から独立させてはどうであろうか。

 

 

2.「廃県置道」2 中央政府から地方へ権限と人材を移管せよ!〜100の行動68

2016年6月1日 JBpress GLOBIS知見録)

「廃県置道」を断行し、国から地方への権限と人材の徹底的な移譲をするための3つの提言。

 

1.中央政府・道・基礎自治体の役割分担をゼロベースで見直せ!

 

道州制における基本的な考え方は、「近接性の原則」と「補完性の原則」。すなわち、市民に最も近接している基礎自治体が行政サービス全般を担当し、それを補完するため、広域による施策を道政府が担当すべき。また、道政府で担うことが困難な外交や防衛政策、通貨政策は中央政府が担当すべき

 

2.「道」そして「基礎自治体」の役割を明確にし、責任体制を確立せよ!

 

100の行動では、これまでの国の仕事を分割し、道州や基礎自治体で担うべき明確な役割をまとめ、表にした。大きなポイントは3つ。第一に、経済・雇用政策は全て、道政府に移管する。第二に、年金・医療・介護の社会保障のベースとなる政策も道政府に移管する。さらに、大学に関しては道政府に、高校教育までは、基礎自治体へと移管する

 

3.中央政府の省庁再編と地方への人材移動を実施せよ!

 

国会議員と国家官僚は、国家戦略、外交、防衛などの業務に専念することができるようになり、日本の競争力が強化される。道州制の導入は必然的に中央政府の省庁再編、人材移動につながる。中央政府から優秀な官僚が地方政府へ移動することで、住民に近い「現場」でその能力を発揮してくれることとなる。このように廃県置道は、地方からの日本の再創造につながる

 

(堀 義人/グロービス経営大学院学長)