最近の注目情報詳細(2015年3月)
1.道州制に4割が賛成 県内首長アンケート
(2015年3月1日 神奈川新聞)
都道府県を道や州に再編する道州制について、県内の首長34人のうち、44・1%に当たる15人が賛成していることが、共同通信社の全国アンケートで分かった。反対は7人の20・6%にとどまり、「その他」が11人の32・4%だった。都市部では「賛成」が多かった一方、町村部では「反対」や「その他」の回答が多かった。全国の自治体でみると、賛成は15%にとどまっていた。
道州制は都道府県を廃止し、全国を10程度の道や州に再編する構想で、都道府県の仕事の大半を市町村に移す。神奈川県は南関東州への再編などが議論されてきた。
賛成したのは、県と11市、3町の計15人。政令市など、都市部の自治体が多かった。黒岩祐治知事は「地域のことは地域で決定し、実行する地方分権型の道州制の導入が望ましい」とした。
横浜、川崎、相模原の3政令市長も賛成。理由について、林文子横浜市長は「広域的な課題の増大により、都道府県の役割も含めた地方自治の枠組みのあり方が問われている中、有益な考え」と回答している。
福田紀彦川崎市長は「地域の実情に応じた行財政運営を行えるよう国と地方の役割などの再構築が求められている」、加山俊夫相模原市長は「国、地方を通じた行政体制の効率化にも資する」としている。
このほか、一般市の8市長が賛成。「行政の効率化が進む」ことなどを理由に葉山、中井、大井の3町長も賛成した。
一方、反対したのは2市、4町、1村の計7人。小林常良厚木市長は「道州と基礎自治体との基本的な関係が示されていないままでの導入は、地方分権改革の停滞を招くと考えられる」として反対。村田邦子二宮町長は「国民的議論が深まっていない」とし、本山博幸松田町長は「時期尚早」、湯川裕司山北町長は「効果が分からない」、大矢明夫清川村長は「市町村が消滅する恐れがある」ことを理由に、いずれも反対している。
また、「道州制よりも、権限移譲による地方分権が先」などとして5市6町が「その他」と回答した。綾瀬市は、道州制についての設問に無回答だった。
一方、全国をみると、賛成は15%、反対は50%。47都道府県知事は賛成9人、反対6人、その他が32人。市と東京特別区は賛成26%、反対23%。町村は反対が76%で、賛成の6%を大きく上回った。
【賛成】県、横浜、川崎、相模原、横須賀、鎌倉、小田原、茅ケ崎、逗子、海老名、座間、南足柄市、葉山、中井、大井町
【反対】秦野、厚木市、二宮、松田、山北、箱根町、清川村
【その他】平塚、藤沢、三浦、大和、伊勢原市、寒川、大磯、開成、真鶴、湯河原、愛川町
2.道州制法案、今国会も困難=特区活用検討を−自民
(2015年3月3日 時事通信)
自民党道州制推進本部は3日の役員会で、昨年の通常国会への提出を見送った「道州制推進基本法案」の扱いを議論した。基本法案について佐田玄一郎本部長は会合後、記者団に「この国会で通すのは厳しい」と述べ、今国会提出も困難との見方を示した。
基本法案は、外交や防衛などを除く国の権限を新たな道州に移し、道州の下に置く基礎自治体が現在の都道府県と市町村の事務を処理するなどと規定。しかし、新たな市町村合併につながることを懸念する全国町村会などが反対している。
役員会では現行の道州制特区の活用を含め、他の選択肢についても幅広く検討するべきだとの意見が出た。道州制特区は現在、北海道のみが対象。特区では国に権限移譲などを提案できる。
3.福岡県知事選 手法、理念の違いはっきり 立候補予定、小川氏と後藤氏が公開討論
(2015年3月16日 毎日新聞/福岡)
15日に福岡市南区であった知事選(4月12日投開票)の立候補予定者による公開討論会は、現職で再選を目指す小川洋氏(65)と新人で弁護士の後藤富和氏(46)が出席し「地方自治」「行財政改革」「原発再稼働」を巡って活発な意見が交わされた。論戦を通じ、政治手法や政治理念の違いなどが浮き彫りになった。【平川哲也】
◇地方自治 ◆道州制が究極の姿−−小川氏 ◆合併や道州制反対−−後藤氏
小川氏 国は国らしい仕事に専念し、地方は地域のことを自ら決める。地方分権を進めるうえで、道州制は究極の姿だ。市町村合併については市町村にその是非を委ね、県はさまざまな情報を提供する立場を取っている。
後藤氏 市町村合併や道州制への移行は反対だ。文化や歴史、規模も異なる自治体が一緒になると、小さな地域の独自性が失われ、地方の声が届きにくくなる。地域の実情を地域が考えたうえでの地方創生であるべきだ。
4.「人口減の危機を好機に」地域主権型道州制に期待 熊本でシンポ
(2015年3月17日 産経新聞/九州)
九州地方知事会と九州経済連合会などでつくる「九州地域戦略会議」が16日、ホテル熊本テルサ(熊本市中央区)で「地方分権・道州制シンポジウム」を開催した。地元財界や県、大学などの関係者からは「人口減少という危機を、チャンスとしてとらえたい」などとする声が上がった。
開会にあたって、九経連副会長を務める肥後銀行の甲斐隆博頭取が「人口減少社会で地域やコミュニティーの存続が危ぶまれる中、地域主権型の道州制への期待が高まっている。道州制の議論をより具体化するため、引き続き努力していきたい」とあいさつした。
・・・パネルディスカッションも開いた。・・・
道州制に関しては、九州大産学連携センター教授の谷口博文氏は「九州全体でウインウインの関係を作り上げ、人と富を田舎にフィードバックすることで制度実現を図り、政策目的も達成できる」と述べた。
5.大阪都構想:住民投票が確定 府議会可決
(2015年3月18日 毎日新聞)
大阪市を解体し、五つの特別区に再編する大阪都構想の協定書(制度設計)議案について、大阪府議会は17日、大阪維新の会と公明党の賛成多数で可決した。大阪市議会でも13日に可決しており、大都市地域特別区設置法(大都市法)に基づき、大阪市民を対象に都構想の是非を問う住民投票の実施が確定した。期日は4月27日告示、5月17日投開票の見込み。橋下徹・大阪市長(大阪維新の会代表)が実現を目指す看板政策は、最終段階を迎えた。
都市法に基づく今回の住民投票には法的拘束力がある。政令指定都市の廃止を問う全国初の住民投票となり、投票率にかかわらず、有効投票のうち賛成が過半数となれば、2017年4月に大阪市は分割され、五つの特別区に移行する。議案可決を受け、府市でつくる法定協議会が総務相と市選管に通知し、近く開かれる市選管会議で期日を正式に決める。
協定書議案は昨年10月、府市両議会で公明、自民、民主、共産などの反対で否決された。しかし、12月の衆院選で、維新の党が府内で比例第1党を確保したことから、公明が都構想の内容自体には反対するものの、住民投票実施容認に方針転換した。
この日の本会議で、維新は「府と市の二重行政を解消するには都構想しかない」と主張、公明は「住民投票で決着をつける」と表明し、他の野党は「市を廃止しても二重行政を抑止できない」などと反対した。
可決された協定書は、大阪市を北▽東▽中央▽湾岸▽南−−の5特別区に分割し、公選区長と区議会を置く内容。福祉や教育など身近な住民サービスは特別区、成長戦略やインフラ整備などの広域行政は大阪府が担うよう役割分担する。府の名称はそのままで、「都」にはならないが、維新は住民投票後、国に名称変更の法改正を働きかける。【熊谷豪】