最近の注目情報詳細(2014年9月)
1.「平成の大合併」意識にギャップ 住民の評価は4割
(2014年8月29日 岐阜新聞)
「平成の大合併」で合併した県内17市町の首長の6割が合併したことを評価しているのに対し、住民は4割にとどまり、逆に「良くなかった」とする割合が4割になることが県と岐阜経済大の共同調査で明らかになった。合併した市町村の住民の半数が合併後に行政サービスが低下したと考えている一方、ほとんどの首長が子育て・少子化対策、高齢者・障害者福祉などの行政サービスは合併前の水準を維持するか、向上したと捉えていた。平成の大合併について、県が報告書をまとめるのは初めて。
首長と住民で合併への捉え方にギャップがあることが浮かび上がった。調査・分析を担当した岐阜経済大の竹内治彦副学長は「合併を選択した理由や市町村長の思いが住民に伝わっていない」と指摘。住民へのより丁寧な説明や積極的な情報提供に加え、広域連携など行政サービスを提供し続けられる体制を検討していく必要があると提言している。
17市町の首長に合併への評価を聞いたところ、64.7%が「良い影響を与えている」と回答。「良い影響を与えていない」との回答はゼロで、35.3%が「どちらともいえない」だった。同じ質問を地域住民にしたところ、「良かった」は37.2%、「良くなかった」は39.0%でほぼ同数。「どちらともいえない」は23.0%だった。
合併後の行政サービスについては、不満を感じている住民が半数に上った。合併した市町村の住民の19.7%が「低くなった」、33.1%が「どちらかというと低くなった」と回答。不満を感じている住民は本庁舎がない周辺部ほど割合が高くなる傾向があり、「低くなった」との回答は中心部が10.2%だったのに対し、周辺部は22.7%で2倍以上になった。
今後の市町村の在り方について県内の全42市町村長に聞いたところ、「合併を視野に広域化していくべき」は4.8%にとどまり、69.0%が「広域連携を進めるべき」と答えた。道州制についても「賛成」の首長はゼロで、首長の多くは現在の行政の枠組みをベースに考えていることが分かった。
調査は平成の大合併から10年が経過することを踏まえ、昨年12月からことし3月までに行った。県内の市町村長42人(有効回答率100%)、元首長、元議員ら旧市町村関係者200人(同96.0%)、地域住民1000人(同81.8%)の計1242人を対象に行った。調査結果は市町村に配布するほか、県の施策立案にも活用する。
2.地方創生は安倍内閣の看板政策=安倍総理
(2014年9月4日 財政新聞)
安倍晋三総理は内閣改造後の3日午後6時半から、改造の狙いなどについて記者会見した。この中で、安倍総理は雇用情勢や給与所得者の給与アップなど景気を改善させてきたと成果を強調。そのうえで「景気回復の風は未だ、日本の隅々にまで行き渡っているとはいえない」との認識も示し、「消費税率の引き上げ、燃料価格の高騰、今夏の天候不順などの影響にも目配りしていかなければならない」と経済運営に慎重な対応をしていかねばならないとの姿勢も見せた。
安倍総理はそのうえで「引き続き、経済最優先でデフレからの脱却をめざし、成長戦略の実行に全力を尽くす」と強調。
安倍総理は「景気の回復軌道をより確かなものにし、その実感を必ずや全国津々浦々まで届ける。それこそが、安倍内閣の使命」と安倍改造内閣の目的の第一にあげた。
そして、安倍総理は「改造内閣の最大の課題のひとつは元気で豊かな地方の創生だ」とし、「人口減少や高齢化といった課題に真正面から取り組み、若者が将来に夢や希望を持ち事ができる魅力あふれる地方をつくりあげていく」とこれまでの政府が成しえなかった難題に取り組む決意を表明した。
安倍総理はそのために「今回、地域活性化のほか、地方分権、道州制改革など、ありとあらゆる地方政策にかかる権限を集中して、新たに地方創生担当大臣を創設した」とし「政府全体にわたって、大胆な政策を立案、実行する地方創生の司令塔になる」と説明。「そのために経験豊富で実行力の高い石破茂前自民党幹事長に地方創生担当大臣をお願いした」と起用の理由を述べ、地方創生は安倍内閣の看板政策とした。
(編集担当:森高龍二) 記事提供元:エコノミックニュース
3.省庁再編も併せて提示を=道州制の議論で−石破地方創生相
(2014年9月5日 時事通信)
石破茂地方創生担当相は5日の閣議後記者会見で、道州制の導入について「中央省庁がどう変わるのかといった話を聞いたことがない。そういう話を詰めないといつまでも前に進まない」と述べ、国民的議論を深めるには、省庁再編を含む国の統治機構の将来像も具体的に提示する必要があるとの認識を示した。
4.安倍晋三首相/地方創生で石破茂担当相に指示/政策調整し一元的に実施を
(2014年9月10日 建設工業新聞)
安倍晋三首相は9日、政府が重要課題に掲げる「地方創生」の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」の方針について、石破茂地方創生担当相に7項目の指示を出した。各省の縦割りを排除するため、石破担当相が政策を調整して一元的、効率的に実施するよう要請。これまでの政策の検証と将来予測を踏まえ、短期、中長期の政策目標を明確に設定することも求めた。
このほか、▽人口減少克服、地方創生(東京一極集中是正)に正面から取り組む▽歳出・税制・地方交付税・社会保障制度などの改革検討▽国と地方の協議や自治体間で広域連携を行う体制構築−などを指示した。加えて、地域の自主性を基本とし、全国一律の政策やばらまき型の対応を避けるよう強調している。地域に根差した民間の創意工夫も後押しすることも求めた。
石破担当相は閣議後の記者会見で首相の指示について「これから実施する創生本部の仕事が、この指示にかなったものなのかどうなのかを常に検証し、かなわない施策は実施しない」と述べた。石破担当相は既に、府省の縦割りを排し、自治体の取り組みを支援する「地域再生法改正案」を秋の臨時国会に提出する考えを表明している。
5.分権と地方創生 まちづくり権限委譲を
(2014年9月14日 毎日新聞/社説)
第2次安倍改造内閣の下、政府の分権改革が大事な局面にさしかかってきた。地方が提案した国からの権限移譲について、政府は年内に対処方針を決めるためだ。
安倍晋三首相は分権改革を地方創生と共に地方重視の両輪という認識で取り組む必要がある。とりわけ、農地を宅地や工業用地など他用途に転用する許可権限の移譲を地方側は一致して求めている。市町村が自主的なまちづくりができるよう踏み出す時である。
提案募集方式は自治体の要望がある個別テーマについて権限移譲を進める。従来の方法と異なり、希望する自治体に限り権限を移譲する「手あげ」方式も選択できる。これまで126の自治体などからのべ1060の要望が寄せられたが、所管する中央官庁は約8割について対応できないと拒否している。
現政権は分権改革に熱心といいがたい状況だった。民主党政権で創設された一括交付金制度は廃止された。地方に大胆に分権することが前提の道州制構想の推進を掲げながら、国の出先機関の見直しは事実上凍結している。地方の提案への消極対応も中央官庁が政権の熱意を見透かした側面は否定できまい。
だが、首相に地方創生の熱意があるのなら地方行政でまちづくりの自由度を高める努力が欠かせない。人口減少の下、多くの自治体が都市計画の再点検を迫られるためだ。
たとえば農地転用許可は4ヘクタール超の農地は国が許可権を握る。都道府県はそれ以下の面積で許可権を持つが2ヘクタール超の場合は国との協議を要しそれに多大な労力を費やす。地方側はかねて権限移譲を求めてきたが、農水省は優良農地の保全などを理由に拒否してきた。
今回、全国知事会など地方6団体は結束して、この権限を自治の現場である市町村に移すよう求める提言をまとめた。都道府県の持つ転用権限はすでに多くの県で事務の特例として市町村に委ねられている。地方が結束したことは注目に値しよう。
農地転用は一定の基準に従い、許可される。基準を明確にすることで地方に権限を移し、深刻さを増す耕作放棄地対策への取り組みに国と地方の連携を強化すべきではないか。
ほかにも町村が都市計画を決める際に都道府県の同意を要することの見直しや、保安林の指定、解除権限の国から都道府県への全面移譲などを地方は提案している。いずれも官庁の抵抗の強い分野だ。
分権改革では市町村による自主的なまちづくりを可能とする権限が積み残された領域となっている。第1次安倍内閣では分権改革を主導した首相が面目を施す好機である。