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1.道州制推進基本法案 今国会も提出困難に

20131028 神奈川新聞)

与党が臨時国会への提出を目指す道州制推進基本法案は、全国知事会など地方側から「制度内容が不明確」といった不満や疑問が相次ぎ、自民党内の調整が遅れている。道州制に前向きな日本維新の会との連携手段として注目されていたが、日本維新の失速で与党内の関心も低下。関係者からは12月6日の会期末までに決着するのは難しいとの声も出始め、法案提出は先の通常国会に続き困難な情勢になってきた。

 

▽相次ぐ不満も

 道州制は都道府県を廃止し、全国を10程度の道や州に再編する構想。現在の法案は、有識者らの国民会議(首相の諮問機関)が区域割りや、国と道州の税源配分などの制度を答申し、政府が導入に必要な法案を整備することになっている。

 ただ、知事会は「国民会議に制度設計を丸投げしている」と批判。8月には、中央省庁を再編して出先機関を地方に移す抜本改革とすることや、税源配分の具体案を記載するよう要求した。

 全国市長会と全国町村会も9〜10月に意見書を申し入れ。市長会は道州と市町村の仕事の配分方法などを書き込むよう求め、町村会は小規模な自治体が合併を迫られる可能性があることから、制度そのものに強く反対。地方側3団体が、それぞれの立場から不満や疑問をぶつけている様相だ。

 

▽党にも慎重派

 自民党道州制推進本部は9月下旬、知事会に対し「法案は最小限度の基本理念などを定めるにとどめ」、道州の地域割りや税源配分は国民会議で議論してもらうと回答し、大幅修正に難色を示した。政治家同士で財源調整制度や事務配分まで規定するには限界があるためだが、知事会の理解は当面得られそうにない。

加えて、党内での意見集約も容易ではない。国政選挙で町村長の支援を受けているため、道州制に後ろ向きの議員も多い。推進本部でも導入を急ぐ幹部は限られ、慎重派が大勢のようだ。

自民党での手続きが済んだとしても、今度は公明党の了承が必要だ。さらには、自前の法案を提出済みの日本維新やみんなの党にも一本化を呼び掛ける方針で、ゴールは見通せていない。

 

▽首相も冷淡?

 一方、日本維新の失速も、法案提出の機運を後退させている。

 自民党内では春ごろ、将来的な憲法改正議論を視野に、道州制推進を維新の会との連携の糸口にする案が浮上していた。だが、自民党は参院選勝利で衆参両院の「ねじれ」を解消し、維新の会は9月の堺市長選で敗れて退潮が鮮明になった。

 自民党関係者は「法案は道州制の是非そのものというより、維新の会との連携材料という政局的意味合いが強かった。もはや手続きを急ぐ必要はなくなった」と話す。

 22日に衆院予算委員会。自民党の法案提出めどを問いただそうとした日本維新の中田宏議員に対し、安倍晋三首相は「地方団体との議論が集約されていくプロセスで提出されると考えている」と答えただけ。強い意欲は感じさせなかった。