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1.維新の会 地域政党の原点思い出せ

201310月3日 西日本新聞・社説)

大阪維新の会が看板政策として掲げる大阪都構想の是非を最大の争点とした堺市長選で、維新の新人候補が現職に敗れた。維新にとっては手痛い敗北である。橋下徹代表の求心力が低下するのは避けられまい。都構想が仕切り直しを迫られるとともに、国政でも維新を含む野党再編の動きに影響を与えるだろう。

 

大阪都構想は、日本維新の会共同代表の橋下大阪市長が設立した大阪維新の会の原点ともいえる政策である。

 

大阪、堺の両政令指定都市を解体して、大阪府と統合し、広域自治体の「大阪都」と中核市並みの権限を持つ10程度の特別区に再編する。二重行政を解消して効率化を進め、都市経営の基盤を強化するのが狙いだという。

 

この都構想が争点となった約2年前の大阪府知事選と大阪市長選のダブル選挙では、大阪府知事から大阪市長への転身を目指した橋下氏ら維新の候補が圧倒的な支持を集めて大勝した。

 

あの「維新ブーム」は何だったのかと思わせるような堺市長選の結果である。維新にかつての勢いがなくなった。それが、地元の大阪で鮮明になった−ということだろうが、やはり大阪都構想に対してその一角を占める市民から事実上ノーを突きつけられた意味は重い。

 

都構想が実現すれば、堺市に住む市民の暮らしや地方自治の姿は具体的にどう変わるのか。その長所だけでなく、短所も詳しく知りたい−。そんな市民の素朴な疑問や不安が市長選を通じても解消しなかったということではないか。

 

住民との対話を通じて提言や対案も受け入れ、場合によっては構想を見直し、肉付けしていく。そんな柔軟姿勢が求められているともいえよう。

 

橋下氏は大阪府と大阪市による大阪都の実現を目指すという。そのためには住民投票で過半数の賛成を得なければならないが、大阪市民にも反対の声はある。堺市長選の結果を踏まえるなら、民意を反映した都構想のあり方を再検討してみてはどうか。

 

大阪の地域政党として産声を上げた維新は、大阪都構想や道州制の導入を唱える地方分権が旗印だったはずだ。その後、「日本維新の会」として石原慎太郎氏率いる「太陽の党」と合流し本格的な国政進出を果たしたが、分権改革の旗手としての存在感はかすみがちだ。

 

むしろ国政では憲法改正や安全保障政策などで自民党との共通点が目立ち、民主党などからは「自民党の補完勢力」とも指摘されている。

 

この際、維新は「地方から国を変える」とした地域政党の原点に立ち返るべきではないか。既得権益にも切り込み、住民本位の分権改革などに力を尽くせば、国政での発言力も増すだろう。野党の共闘や再編をめぐる論議でも主導的な役割を果たす展望が開けるかもしれない。

 

看板政策で敗れた地方選挙から維新は貴重な教訓をくみ取るべきだ。

 

 

2.道州制「具体的回答なし」 井戸知事が自民を批判

201310月7日 神戸新聞)

 道州制基本法案に対する全国知事会の意見に対し、自民党道州制推進本部がこのほど出した回答について、兵庫県の井戸敏三知事は7日、「制度の根幹に関わる部分に具体的な回答が見られず、依然国民会議に丸投げになっている」と話した。

 

 井戸知事は、中央府省の解体や再編を含む国と地方のあり方▽国が引き続き担う役割▽基礎自治体のあり方−などの意見に「具体的な回答がない」とし、「道州制導入の趣旨や骨格が明確でない」と疑問を呈した。

 

 また回答で「基本法案は道州制の導入を前提としない」とされたことにも、「そうであるなら、道州制基本法ではなく、道州制を検討する国民会議設置法とし、まずは党内で道州制の要否をしっかり議論するべき」と反論した。

(岡西篤志)