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1.関西州:広域連合11首長、大半が移行に否定的 道州制賛成は4氏

20121119 毎日新聞)

関西広域連合を構成する7府県と4政令市の首長の大半が、将来広域連合を「関西州」に移行させることに否定的であることが毎日新聞のアンケートで分かった。広域連合は12月1日で設立から2年になる。道州制についても首長間で賛否が分かれており、当面は広域連合が関西の広域行政や国の権限移管の受け皿としての役割を担うことになりそうだ。

 

アンケートは、構成団体の滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、徳島の7府県知事と京都、大阪、神戸、堺の4政令市長を対象に、全員から回答を得た。

 

その結果、広域連合の関西州への移行に「賛成」と明確に回答したのは竹山修身・堺市長だけで、「関西全体の広域行政一元化という目標を掲げる広域連合は、関西州実現に向けた確かな一歩」と理由を説明した。門川大作・京都市長は「広域連合を道州に転化させるか、他の方法があるか、深い議論が必要」と答え、移行も選択肢の一つとした。

 

広域連合では、設立時から「関西州」への布石になりかねないとの警戒感があり、設立案に「広域連合が道州に転化するものではない」と明記されている。残りの首長9人はこれを根拠に、関西州への移行に否定的な考えを示した。

 

道州制そのものへの賛否は分かれた。「賛成」と回答したのは、大阪都の次に「関西州」の実現を目指すとしている橋下徹・大阪市長や松井一郎・大阪府知事と、竹山市長、門川市長の4人。仁坂吉伸・和歌山県知事は「不可避」としながら賛否への言及は避けた。

 

これに対し、井戸敏三・兵庫県知事が「現在議論されている道州制は、実質的には国による強制的な府県合併」と反対したほか、「広域連合による地方分権改革を進めるべきだ」との意見も目立った。

【まとめ・石川貴教】

 

 

2.道州制導入に反対決議=全国町村会

20121121 時事ドットコム)

全国町村会(会長・藤原忠彦長野県川上村長)は21日、都内で全国町村長大会を開き、道州制について「地方分権の名を借りた新たな集権体制」と批判した上で、「改めて導入に反対する」とした特別決議を採択した。 

 大会では、環太平洋連携協定(TPP)への不参加や、東日本大震災からの早期復興と全国的な防災・減災対策の強化などを求める決議も採択した。

 藤原会長は大会冒頭のあいさつで、「TPP参加ではなく、農山漁村の再生、活性化が優先されるべきだ。また、道州制議論が再燃しているが、町村に大きな影響を及ぼす」と訴えた。

 

 

3.道州制実現 各党に要望 共同代表の宮城知事

20121121 河北新報)

 道州制実現を目指す知事と政令指定都市市長でつくる「道州制推進知事・指定都市市長連合」の共同代表に就任した村井嘉浩宮城県知事は21日、自民、公明、みんなの党に対し、地域主権型道州制の実現を政権公約に明記するよう求めた。

 自民党本部では村井知事が甘利明政調会長に要請書を手渡し「道州制導入への推進法を次期通常国会で成立させてほしい」と求めた。甘利氏は「政権公約に書き込む。主な政党の考えに大きな差異はなく、ぜひ実現したい」と応じたという。

 要請書は、基礎自治体、道州、国の役割分担、税財政制度の見直しに加え、推進法制定後6〜8年以内に道州制への移行を目指すという工程も盛り込んだ。22日は副代表の古川康佐賀県知事が民主党と日本維新の会に要請活動をする。

 連合には8道府県知事と15政令市長が参加し、政令市の共同代表は橋下徹大阪市長が務める。村井知事は「(日本維新の会を率いる)橋下氏には一政令市長の立場で入ってもらっている」と話し、広く政党に働き掛けていく考えを強調した。

 

 

4.首長連合の道州制試案

20121125 西日本新聞・ワードBOX)

 道州制推進知事・指定都市市長連合の試案は、道州制の実現目標を「推進法制定後6〜8年以内」とする。役割分担は第三者機関で調整。主な役割は、国=外交・安全保障や司法、国家戦略など▽道州=警察や広域の行政と公共事業、大学以上の高等教育など▽市町村=住民の暮らしに密接な地域施策や小・中・高校など−とする。財源は「消費税の地方税化」や「課税自主権の拡大」を求める。道州間の財政調整は「地方共有税」の創設を検討。道州議会は自治立法権を持つ一院制で、首長と議員は選挙で選ぶ。道州の区割りは政府の検討機関が地方の意見も聴いて決定。州都は道州が決める。

 

○衆院選 国を動かす好機 “分権像”さまざま 地方 一枚岩になれず

 

 衆院選では地方分権(地域主権改革)の行方も焦点。「山と海」「都市と農村」「東と西」…。地域で異

なる実情に応じた施策を自由な裁量で実現するため、地方は国から大幅な権限や財源の移譲を求めている。九州もアジアに近い優位性を生かしたいところだ。ただ、自治体によって思い描く姿はさまざまで、分権の推進には中央省庁や族議員の抵抗に加え、地方側の「同床異夢」の壁も立ちはだかる。

 

 宮城県の村井嘉浩知事は21日、要請書を手に自民党本部にいた。求めたのは年明け後の通常国会での道州制推進法成立と政権公約への明記。甘利明政務調査会長が「ぜひ実現したい」と述べると、頬を緩めた。

 

 村井知事は佐賀、熊本両県と福岡、北九州、熊本各市を含む8県・15政令指定都市の首長でつくる「道州制推進知事・指定都市市長連合」の共同代表を務める。

 

 「内政は地方がやる。国は外交や防衛、通商政策など、外にエネルギーを向けるべきだ」「道州制への賛否は国論を二分する。議論を深めるためにも推進法というテーブルが必要」。手分けして公明、みんな、民主、維新を加えた計5党に陳情した。政党乱立の中、訪問先は「次期政権にかかわる可能性が高い」とみる党に絞ったという。

 

 民主以外の4党は推進の立場。政府・民主党は「検討も射程に入れていく」との表現にとどまる。首長連合は衆院選を国を動かす好機とみる。

 

 ▼懸念

 

 ただ、道州制の実現は容易でない。都道府県の解体に反対する知事も少なくないからだ。

 

 道州制は都道府県を10前後の道州に再編、中央省庁も集約する新たな統治機構。実現すれば明治時代の廃藩置県から約140年を経た国の形の大改革となる。だが、1980年代後半から「地方の時代」をめぐる論議が続き、2006年には政府の地方制度調査会が「導入が適当」と答申したにもかかわらず、法制化は進んでいない。

 

 背景には、道州内での新たな地域間格差の拡大や市町村再編を懸念する声がある。国の出先機関の地方移管さえ進まないのに実現できるのか、という疑念も渦巻く。

 

 全国知事会は今年2月「反対も多い」と内部組織の道州制特別委員会を廃止した。これを受け、道州制を求める首長連合が4月に発足したというのが実情だ。

 

 ▼異論

 

 同床異夢は、全国20の政令市が求める新たな大都市制度にもある。求める形が各市で異なる。

 

 橋下徹大阪市長は、特別区の設置を東京以外にも認める大都市地域特別区設置法の今夏成立を受け「大阪都」の実現を目指す。しかし、他市の多くは「府県からの独立が優先。維新の会で知事と一体の大阪とは異なる」と距離を置く。中京都を構想する名古屋市も特別区の設置は望まない。

 

 横浜、川崎、相模原の3政令市がある神奈川県は、より複雑だ。横浜市は警察も含む大幅な権限移譲で県からの「独立」を主張。県は県単独の「神奈川州」創設で3市との「共存」を望む。他の2市は県に権限移譲を求めるが、横浜市の独立には慎重だ。他にも福岡市が「福岡都市州」、新潟県と新潟市が「新潟州」を構想する。

 

 一方、小さな市町村から見れば、道州制も大都市制度も、大きな自治体の権限争いにすぎない。21日、都内であった全国町村長大会は「地方分権の名を借りた新たな集権」として、道州制の導入反対を特別決議した。

 

 市町村には「国への依存」回帰の傾向もある。東日本大震災を機に「いざというとき、頼りになるのは県ではなく国」の意識が広がっている。

 

 

5.道州制導入、自公は前面に=「中長期で検討」と民主−地方制度改革【12衆院選】

20121128 時事ドットコム)

 2012年衆院選では、国と地方の関係をめぐる政策論争も注目される。自民、公明両党は都道府県を廃止して複数のブロックに再編する「道州制」導入を前面に出し、中央集権体制を見直す方針を強調。民主党は、道州制について「中長期的な視点で検討」とした上で、国から市町村への権限移譲を進める地域主権改革に軸足を置く。

 自民党は衆院選公約に、「国の在り方を根底から見直し、統治構造を根本から改める改革」として道州制の推進を掲げた。まず、「道州制基本法」を早期に制定し、その後5年以内の導入を目指す。

 自公連立政権時代の06年2月、地方制度調査会(首相の諮問機関)は、全国を9、11、13の道州に分ける三つの区割り案をまとめている。

 道州制をめぐっては、公明党も「地域主権型道州制の導入」を公約に明記。「中央集権体制打破」を旗印とする日本維新の会やみんなの党も実現を訴え、主な政党が足並みをそろえた。

 一方、民主党はマニフェスト(政権公約)で、国が法令で自治体の業務を縛る「義務付け」「枠付け」の見直しなど、住民に一番身近な市町村が自主性を発揮できる地域主権改革重視の姿勢を打ち出し、他党と一線を画す。

 ただ、「一丁目一番地」の最優先課題として、09年衆院選マニフェストの主要テーマに位置付けられた地域主権改革は、今回のマニフェストでは政策各論に後退した。

 道州制に対しては、経団連などが地域活性化の観点から実現を求める半面、小規模市町村は「税源が豊かな大都市圏へのさらなる集権を招く」などと強く反対している。

 民主党は、自治体が一定の裁量で自由に使える一括交付金の創設、国と地方の協議の場の法制化実現など、政権を担った3年間の実績を挙げ、地域主権改革が「一歩ずつ着実に前進した」(樽床伸二総務相)とアピールする構えだ。

 

 

6.[地方分権] 住民本位の視点で語れ

20121211 南日本新聞・社説)

 地方自治の将来像をどう描くのか。総選挙では地方分権も重要なテーマである。住民本位の視点で議論してもらいたい。

 

 民主党は、前回2009年の総選挙で地方分権を「地域主権」と言い換え、改革の「一丁目一番地」とアピールして政権交代を果たした。

 

 その主な柱は、国が細かく使途を定めている「ひも付き補助金」を自治体が自由に使える「一括交付金」にすることや、国の出先機関の廃止・縮小などだった。

 

 一括交付金は、道路や学校などインフラ整備の補助金を統合して都道府県限定で配分するなど一定程度は実現したものの、十分とはいえない。市町村への拡大など課題も残る。

 

 出先機関改革は、国土交通省地方整備局など3機関の仕事や職員を、複数の都道府県でつくる広域連合に移す構想だ。政府は特例法案を衆院解散直前に閣議決定したが、選挙をにらんだ実績づくりの印象は拭い切れない。

 

 法案については全国知事会が賛成する一方、市町村は東日本大震災を受けて「都道府県では大規模災害に対応できない」などと難色を示している。

 

 このため、管内の市町村の同意を取り付けた広域連合に限って業務移管を認める。知事ら執行部には、市町村長の意向を反映した業務運営を義務づけた。

 

 ただ、省庁間の調整が遅れ、3機関約3000の業務のうち、どの業務を移すかは未定だ。自治の枠組みを変えても、改革の実効が伴わなければ看板倒れに終わろう。どの政党が政権に就いても、地方の意見を十分反映した改革を進める必要がある。

 

 今回の選挙では、都道府県を廃止して全国を広域ブロックに再編する「道州制」の導入を公約に掲げる政党が目立つ。

 

 民主党が「中長期的な視点で検討する」と、前回にはなかった道州制を明記したのに対し、自民党は「道州制基本法の早期成立を図り、制定後5年以内の導入を目指す」と踏み込んだ。公明党も基本法の早期制定を掲げ、日本維新の会は中央集権体制から道州制に移行すると主張している。

 

 国と地方の借金は1000兆円に迫る。少子高齢化が進む中、行政の効率化を図る手だてを講じなければならないのは明白だ。ただ「道州制ありき」ではなく、導入による具体的なメリット、デメリットを示す必要がある。各党は選挙戦で議論を深めてほしい。