最近の注目情報詳細(2012年10月)
1.「関西州」のグランドデザイン策定へ始動 大阪都は1千万人超? 府市統合本部
(2012年9月26日 サンケイビズ)
将来の関西州を見据え、大阪府市統合本部のグランドデザインプロジェクトチーム(PT)が、大阪を中心に関西圏全域を対象とした街づくりの在り方に関する「グランドデザイン・大阪都市圏」と題した将来像の策定を始めたことが25日、分かった。6月策定の「グランドデザイン・大阪」の拡大版で、大阪都移行後を見据え、関西州の未来図を描くとしている。
PTでは、関西州が実現した際には大阪が中心を担うと想定し、策定作業を開始。現在約880万人の府内人口は、大阪都の実現により都市魅力が向上することで千万人超に増加すると試算しており、関西州は首都圏に次ぐ広域圏になると想定している。
具体的には、生活上の利便性向上を目指し、大阪から隣接府県への交通アクセス向上に向けた高速道路網の整備や、公共交通の在り方などを検討。府南部の関西国際空港対岸の「りんくうタウン」から和歌山にかけたエリアや、府北部の国際文化公園都市「彩都」から京都府域など、府県境をまたいだ将来像を描く。
関西広域連合では観光や産業面などで加盟11府県が連携しているが、道州制をめぐっては賛否が分かれており、関西州を想定した計画策定はない。大阪府幹部は「首都圏に次ぐ国際競争力を持つ大都市圏の創造を目指す」としている。
2.道州制 薄れる関心
(2012年10月4日 朝日新聞/熊本)
道州制への県民の関心がなかなか盛り上がらない実態が、県公表の「県民アンケート」の結果から見えてきた。熊本市が「州都」になることへの意見を尋ねる質問では「なってほしい」が33%と、2年前に比べて18ポイントも減少。州都を目指す蒲島郁夫知事との「熱意」の差が浮き彫りになった。
アンケートによると、道州制を「よく知っている」「都道府県が再編されるぐらいのイメージは知っている」と回答した人は全体の63%だったが、「熊本市が『州都』になることをどう思うか」との問いでは「なってほしい」が2年前の51%から33%、「なるべきではない」も15%から6%にそれぞれ減った。
一方、「どちらでもよい」(31%)、「分からない」(30%)を合わせた割合は、2年前に比べて2倍近く増加。こうした変化について、県企画課は「州都になることのメリットやデメリットが見えづらいことが、背景にあるようだ」と分析している。
今年の質問項目にはなかったが、昨年の調査では州都に反対する理由として「今のままでよい」(38%)「都市化が進み、住みにくくなる」(35%)が上位にきた。
蒲島郁夫知事は熊本が「州都」になる条件などを有識者とともに話し合う「くまもと未来会議」を今年始めたばかり。県企画課は「道州制や州都のイメージを県民に持ってほしい」として今後もシンポジウムなどを通じ、啓発活動に力を入れていく考えだ。
一方、熊本の治安については76%が「安心」と回答。景観についても83%が「美しい」と感じている結果が出た。現在、「幸せ」と感じている人は76%にのぼっており、毎日の暮らしについては、多くの県民が満足できているようだ(いずれも「どちらかといえば」との項目も加算)。
アンケートは20歳以上の県民1500人を無作為に選び、郵送で調査。県の政策、県民生活に関する23項目44問を尋ねる内容で有効回答者数は859人(回答率57%)だった。
3.維新「みんなと連携」 選挙協力模索、第三極結集図る
(2012年10月5日 毎日新聞/大阪)
新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は4日、次期衆院選での連携協議が事実上頓挫していたみんなの党との関係について、「一つの固まりとして有権者に選択肢を提示するのが本来のあり方だ」と記者団に述べ、選挙協力を含め連携を模索する考えを示した。民主、自民両党に対する「第三極」の結集を図り、存在感を高める狙いがあると見られる。
【津久井達、熊谷豪】
橋下氏は、衆院選に向けて「はっきりと、自民、民主、第三極という構図を提示するのが我々の責務だ」と強調。「みんなの党と仲たがいしていると僕が思わせているようなら、正していかないといけない」と述べた。維新幹事長の松井一郎大阪府知事も「(政策の)中身が変わらないなら一緒にやろうということだ」と述べた。
関係者によると、みんなの党の江田憲司幹事長と松井氏は連携を模索し、協議を再開させているという。
橋下、松井両氏とみんなの党の渡辺喜美代表は8月に会談したが、物別れに終わった。さらに、みんなの党所属の参院議員3人が維新入りし、関係は冷え込んでいた。
毎日新聞が9月29、30両日に実施した世論調査によると、維新の政党支持率は8%で、特に東日本では伸び悩んでいる。みんなの党は道州制や首相公選制などの政策が維新と重なるうえ、現職議員は関東に多い。渡辺氏は9月末、「どうやれば相乗効果を発揮できるかというのがポイントだ」と、連携を図る意向を示していた。
4.「道州制で立て直しを」 権限・財源、国から地方へ移譲を 石井正弘知事、インタビュー
(2012年10月5日 毎日新聞/岡山)
◇借金返済の4期16年
4期目の任期を来月終えて退任する石井正弘知事(66)が毎日新聞に対し、「借金返済に追われた4期16年間だった」と総括した。「独自の財源を持てないつらさが身にしみた」と振り返り、「“国のかたち”を変えないと日本の将来は見通せない。権限と財源を国から地方に移して道州制で立て直すしかない」と提言している。
【小園長治】
−−綱渡りの財政運営でした。
16年前に知事に就任して、担当者から財政状況を聞いて驚きました。県財政は、全国一厳しかった。起債制限比率は危険水域の15・5%。企業ならば倒産寸前。財政再建団体転落の危機が迫っていました。
−−前任の故長野士郎知事の負の遺産では。
リーダーは長野知事でしたが、当時の県議会、地元経済界も大型プロジェクト推進の借金に賛成しました。マスコミも含めて、チェック機能が働かなかった。当時は「借金は経済成長につながる」という考え方が一般的でした。
−−プロジェクトを次々に凍結しました。
手を打てばまだ(財政再建団体になるのを)回避できた。放っておくと倒産だった。特に(08年に閉園した)倉敷チボリ問題には厳しい意見がありました。運営会社チボリ・ジャパンが県に負担増を求めましたが、お断りしました。
−−08年に大きな試練が待ち受けていました。
ようやく借金体質から脱却しかかったその時です。国から地方に配分される地方交付税を一方的に削減される三位一体改革は衝撃でした。入ってくるはずの400億円が来ない。この時は本当に参りました。ただちに行財政構造改革大綱を策定しました。県民の皆さんに多大なご負担を強いることになりました。
−−道州制は、独自財源を確保するためですか。
03年に開いた「21世紀の地方自治を考える懇談会」に、「国の都合で自治体に財政負担を転嫁してはならない」と提言をいただき、「都道府県を改編しなくては」と切実に感じました。
−−道州制とは。
国の役割を外交、防衛、通貨、大規模災害の備えなどに限定して、内政に関する事務は極力、道州に移管し、都道府県の業務も市町村に移します。中央官庁は縮小され、国の行政機構はスリムになります。
道州制は、分権を徹底させた地域主権が基本。道州が権限と予算を持つわけですから住民本位の思い切った施策が可能になります。
−−現行の都道府県には独自政策は不可能ですか。
県予算6500億円のうち知事が裁量で使える予算は数億円程度。10億円を超えたのは1、2回。これでは独自政策に思い切った予算を付けるのは難しい。
−−思い描いた政策の実現は難しかったのですか。
16年前、ボストンバッグ一つで岡山駅に降り立った時、「古里・岡山に全てをささげる」と誓いました。県民生活向上のためのインフラ整備も考えました。しかし財政再建が私の責務だと全力で取り組みました。
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■視点
◇県財政、まだ危険水域
石井正弘知事は任期中、全国最悪といわれた財政難の改善に取り組んだ。歳出カットを徹底して財政の健全度はかなり回復した。最悪時に年平均約400億円あった収支不足も来年度は約50億円に縮小する見通しだ。
石井知事は08年、財政危機宣言を出して4500人いた県職員を同じ規模の県で最小の3912人に削減。岡山テルサ(早島町)など県の37施設を廃止するか市町村に移譲・転売し、毎年10億円以上の補助金を支出した倉敷チボリ公園も閉園させた。
石井知事が就任した96年の起債制限比率は15・5%と全国ワースト1。公債費が一般財源に占める割合を示す起債制限比率は99年度19・3%に達し、国から起債を制限される20%に近づいた。危機は脱し10年度に全国23位の14・8%まで改善。大災害など緊急時に備える余裕が生まれた。
しかし収支不足は続き、県財政は危険水域を抜け出したとは言い難い。石井知事は「緊張感が緩めば県財政はガタガタになる」と警告する。28日投開票の選挙で選ばれる新知事も、厳しい財政運営を強いられることは変わりない。
【井上元宏】