州のしくみ
☆概要
第一段階では、州の基本的なしくみを決める必要もあります。
国の運営方法は、担当内容がこれまでより大幅に少なくなりますが、第一段階では大きくは変わりません。しかし、東日本州と西日本州については、その大きさから、これまでの都道府県のしくみとは変えなければいけません。
せっかく新たに「州」をつくるのですから、そこには新たなしくみを組み込みます。具体的には、選挙制度等に「アメリカ大統領制の長所」を取り入れ、日本の政治をより安定させ、また長期的視野で行われる制度にします。
☆リーダー個人ではなく、チームを選ぶ
東日本州・西日本州は広い地域の行政を担当します。ですから、州長一人が役所に入っていっても十分な仕事はできないでしょう。
そこでそこに副大統領も一緒に選ぶアメリカ大統領制の長所を取り入れて、州長選挙は単に州長を選ぶだけではなく、副州長と一緒に「チーム単位」で選ぶ選挙とします。しかも副州長は複数名とし、いわば「内閣単位」で選挙を行う形にします。そうなれば州長と副州長のチームは就任当初から役割分担をして州の政治を引っ張っていくことができるようになるでしょう。
さらにこれもアメリカの長所を入れ、州庁の幹部スタッフに州長のブレーンを多数外部採用できるようにもします。そうなれば、選ばれた州長は準備したスタッフとも一緒にチームで州を運営し、選挙での公約を着実に実行することができるようになります。
もちろん、州長交代の際には幹部スタッフを入れ替えることができるようにします。
このように、州長選挙においては、州長候補に事前に複数名の副州長候補を指名することを義務付け、州長と複数名の副州長を一緒に住民が選ぶようにします。そうすれば、当選後に副州長を選び、しかも議会で承認を得るといったことも必要なくなります。知事が一人で役所に飛び込む都道府県知事とは異なり、州長は就任直後からリーダーシップを発揮することができるようになるでしょう。
☆州長の任期は1期4年、2期までとする
州長の任期は、アメリカ大統領と同様に4年とします。
日本の首相は国会の議決により指名されるため、常に政権争いの渦中に巻き込まれ、短命に終わることも多いのが現実です。それが政治の安定を阻害する要因ともなっています。
ですから、現在の首相の仕事のかなりの部分を引き継ぐことになる州長に4年という決まった任期が付与されれば、首相のように国会の動向に左右されずに、より長期的な視野に立って州政治を担うことができるようになります。これにより政治は安定するはずです。
ただ、どんな政府でもそれがあまりにも長期になると政治腐敗等が起こりやすくなるのも通例です。そこでアメリカ大統領と同様に、巨大な権限を持つ州長の多選は禁止し、最長2期8年とします。これにより、権力が固定化し、腐敗するのを防ぐことができます。
☆州議会は任期2年、2回に1回は州長選挙と同時選挙
東西日本州は、地方公共団体なので、他の地方議会同様に一院制になります。
州議会の任期はアメリカ下院と同様に2年とし、また州長選挙がある年にはそれと必ず同時に州議会選挙も行うこととします。州長選挙と議員選挙を同時に行なうことで、選挙民の関心を高め、投票率が上がるよう工夫するわけです。
また、選挙制度も同じく小選挙区制を採用し、州長が就任した際には、議会は与党が多数を占めるようにし、州政治が州長の方針通りに進むようにします。
日本のいまの地方公共団体では、首長選挙と議員選挙が別々に行われる例が多数発生しています。そしてそのために首長と議会がいわゆる「ねじれ現象」になり、地方政治がうまく進まないことも多々あります。ですから、州政治においては、首長の選挙の際に必ず州議会選挙を行うことでねじれの発生を防ぎ、州長が公約を実行しやすい環境をつくります。
もちろん、州長が当選後暴走しないとも限りません。そこで、州長の任期4年に対し、議会の任期を2年とすることでその暴走を防ぐようにします。
州長就任の2年後に州議会選挙が行なわれれば、それは中間選挙の形で行われることになり、そこでは州長の2年間の実績が問われることにもなります。もしそこで野党が多数を占めることになれば、それが民意ということになり、州長は議会に大幅に譲歩することになるでしょう。議会の任期を2年にすることにより、州長の暴走は防ぐことができるはずです。
☆4年周期で計画的に
アメリカでは大統領に事故があった場合は、残任期間を副大統領が大統領になって担当することになっています。そこで東西州政府も、州長に事故があった場合は、筆頭副州長が残りの任期を担当することとします。
州政治が制度的に4年の周期で運営されることになれば、当然それは計画的に行われるようになるでしょう。それは州政治に安定をもたらし、無用の政争を防ぐことにもなります。
なお、筆頭副州長が引き継ぐ際に残りの任期が2年以上の場合は、その任期は次の州議会議員選挙までとし、州議会選挙の際に州長選挙も同時に行ない、住民の信を問うこととします。
☆議会解散は制度的になくす
いまの地方公共団体には、首長への不信任決議や首長による議会解散が制度化されていますが、州政府については、議会の任期を2年にするので、議会の解散は制度的になくします。同様に、州長の不信任決議もなくします。
もし何らかの理由で州長が辞める時は、筆頭副州長が後を引き継ぐことで対処します。これで、選挙も計画的にできるようになり、住民への周知もしっかりできるようになりますので、投票率も上がることになるでしょう。
☆州の仕事の中心は、経済政策と地域経営
州政府は、現在、農林水産省・経済産業省・国土交通省の担当している役割のすべてを、財務省も国税庁を含めその多くを、さらに、総務省・文部科学省・厚生労働省・環境省からも一定の業務を引き継ぎ、まさしく日本の経済政策・地域経営を担うことになります。
この制度では、基本的なことは国が決めますが、経済その他の多くのことは州が決定することになります。州長のリーダーシップの下、それぞれの州が特色を出し、競い合って州を経営し、それによって日本全体も発展していくことになります。
☆州政府の組織の変革
州政府は中央政府の多くをそのまま移行して出発します。よって当面はそのままの体制で、州の業務として、現在行っている業務を行うことになります。
そして第二段階で、州政府の業務が安定した後に、必要に応じて、州長のリーダーシップの下、より良い体制に州の仕組みを変えていくことになります。いわゆる縦割りの弊害を是正していくことは、州長の大きな仕事になるでしょう。