なぜ細胞分裂型道州制か

 

 

☆「地域主権型道州制」とは

道州制とは、全国を10程度の道州に再編し、国の役割を主に外交・安全保障などの対外的な仕事に純化し、産業や生活など内政に関わる仕事の大半を道州に移すものです。

なかでも「地域主権型道州制」とは、国が内政全般に関与してきた中央集権体制を廃し、国、道州、基礎自治体(市町村)が明確な役割分担のもと、それぞれが独立した権限とみずからの税財源をもつことで、地域が自由で独創的な活動をできるようにするという「新しい国のかたち」を意味します。

この「地域主権型道州制」は、単なる都道府県合併でもなければ、国の出先機関を統合する国主導型道州制とも異なり、中央政府の解体再編と地域政府の確立を目指すものです。ただし、アメリカのように各州が独自に憲法や軍を持つ連邦制とは違い、現行の日本国憲法の中で実現できる改革なのです。

(PHP総研HPより)

 (http://research.php.co.jp/devolution/faq.php#q1

 

 

☆なぜ「地域主権型道州制」か

明治維新以来、わが国は中央集権体制の下で大きな発展を成し遂げてきました。しかし今日では、東京圏だけが繁栄を謳歌し、地方はおしなべて衰退している有様です。しかも、唯一繁栄する東京圏ですら国際的な地位は低下を続けています。このままでは、日本はいずれ経済的にも三流国になってしまう可能性があります。

これは、東京で中央官僚が画一的に政策を決め、地方を手足として指示し実施させる中央集権体制が制度疲労を起こしていることが根本的な原因と考えられます。中央集権体制のもとでは、受益と負担の関係が見えづらく、ニーズに合わない社会資本整備など多くの無駄と財政赤字を生んできました。

こうした問題を解決するためには、小手先の制度改正ではなく「国のかたち」を根本的に変える改革が必要です。それが、中央集権体制と訣別し道州それぞれが繁栄の拠点を築く「地域主権型道州制」なのです。地域主権型道州制は、わが国を中央集権型国家から分権型国家に変える「地方分権改革の総仕上げ」であるとともに、官僚主導の社会経済構造を改める「究極の構造改革」としても求められているのです。

(PHP総研HPより)

 (http://research.php.co.jp/devolution/faq.php#q2

 

 

☆中央集権体制の弊害とは

国が地方自治体をはじめ民間の活動なども主導する中央集権体制は、戦後の疲弊した日本を経済大国にまで発展させましたが、現在では東京一極集中と地域間格差を引き起こし、地域活性化の限界が露呈しています。これは、全国画一の中央集権的な立法や制度が、地域の住民のニーズに応じた行政サービス、地域の特性に応じた経済政策を行ううえでは障害になっているためです。

また、現在の中央集権体制のもとでは、国民の目線からは永田町や霞ヶ関は遠すぎます。したがって、何のためにどれくらいのお金が使われているのかについて、国民のチェックが働かず、結果的に効率の悪い公共投資や公共サービスを生じさせ、無駄と膨大な財政赤字をつくる状況を招いています。

(PHP総研HPより)

 (http://research.php.co.jp/devolution/faq.php#q3

 

 

☆なかなか進まない「地域主権型道州制」

しかし、残念ながら「地域主権型道州制」は、いま足踏み状態にあります。

第一次安倍内閣では、道州制担当大臣が誕生し、内閣府に道州制ビジョン懇談会ができ、しっかりとした中間答申まで出しました。(その後、民主党政権で道州制ビジョン懇談会は廃止されましたが、PHP研究所がその最終結論を作成しました。)理論上は、やる気があるのであれば、いつでもできる状況になっています。

ところが、今の安倍内閣にはそれをやろうという気概が見えません。

やる気であれば、第一次と同様にまず道州制担当大臣を復活させるはずですが、その気配はありません。自民党道州制推進本部は、「道州制基本法案」の国会提出さえ見送りを繰り返しています。

衆参で与党がこれだけの多数を持っていながら行わないということは、やる気がないとしかいいようがありません。

 

☆何が障害になっているのか

全国町村会などが「市町村の強制合併につながる」として強硬に反対していることが、自民党が踏み切れない大きな原因でしょう。小泉内閣の「平成大合併」がうまくいかなかったのが、市町村の不安を増長しています。

都道府県を廃止して、全国を10程度の道州に再編することに対しても反対の声が大きくあります。

また、道州をどのように分けるのか、州都をどこに置くのか、といったことで賛成派の中にも意見の対立があります。

 

☆そこで「細胞分裂型道州制」で、段階的に進める

当会も2003年の発足以来、「地域主権型道州制」の形で道州制を実現することを推進してきました。しかし、10年以上を経ても、状況がなかなか進展しないという現実を前に、一度に「地域主権型道州制」にまで進むのではなく、段階的に進める方が実現の可能性が高いのでないかとの結論に達しました。

もちろん、一度でそこに到達するのであれば、それに反対するつもりはありません。当然その方が好ましいのです。しかし、特に最近の停滞ぶりを見るとそれは無理かと思われます。

そこで、「地域主権型道州制」を段階的に実現するために、「細胞分裂型道州制」と銘打って、新たなる方策を提案することにしました。

 

☆「細胞分裂型道州制」で、まず国のしくみを変える

道州制には、「中央集権体制を変革し、内政の多くを国から地方に、権限・財源・人材を含めて、移す」という目的と、「地方が自立して政治を行えるように、地方の政治体制を改革し、地方を強くする(基礎自治体も強くする)」という、大きく分けて2つの目的があります。

それを一度にやってしまうのが「地域主権型道州制」です。

しかし、日本は明治以来、中央集権体制できたので、多くの地方には体力がありません。戦後さらに進んだ中央集権体制の結果、現在、人・物・カネの多くが東京圏に集まっており、それは現在も進行中です。

そこで、まず「中央集権体制の変革」に的を絞り、東京圏への一極集中を是正し、人・物・カネの流れを変えるのです。

具体的には、国と「都道府県」の間に、「東日本州」「西日本州」を新たにつくり、そこに内政に関連する国の権限・財源・人材の多くを移行します。

州の政策を決定する場所は州都ですが、東日本州の州都は東京から離れた場所にします。例えば仙台にすることによって、人の流れは東京から仙台へ、また東京から西日本の州都(例えば大阪)へと物理的に変わります。

そうやって、物理的に政治の機能の多くを東京以外に移すことによって、中央集権の流れを止めるわけです。

州政府の政治が安定するまでは、いまの都道府県には手はつけません。

国からの補助金は、州からの補助金に形を変えて、当面は継続されます。

そして、州政治が落ち着いてきた段階で、州長のリーダーシップの下、「基礎自治体の強化」や「都道府県の廃止」に力を入れることになります。

 

☆最終地点は「地域主権型道州制」とほぼ同じ

東西2つの州がさらに分裂し、基礎自治体が強化され、都道府県の役割の多くがそこに移ることになれば、それはまさしく「地域主権型道州制」です。

ただ、それを急がす、段階的に行うわけです。

その過程で、地方が自主的に想定外のことを始めるかもしれません。しかし、地域主権型道州制は地方の自主性を奨励しているわけであり、単に順番が逆になるというだけです。

 

 

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